あらすじ

気がついたら、すすきの生い茂る中にいた。すすきの周りには森が広がり、人はおろか、動物も虫もいない。 タイムマシンで一日先の未来に行って、帰ってくる実験をしたはずだったが、そこは一万年先の想像し得ない世界だった。 孤独の身から解放されたい。人と会いたい。そう思っていたとき、視線の先にある丘の上に人の輪郭を見つける。 会いたい一心で、大声を出す。 輪郭はこちらを振り返ったように見えた。 一歩踏み出したとき、足を取られ跪いて目線を落とす。 再び顔を上げると、丘の上に人の輪郭が見えない。 もう一度大声を出して輪郭を呼ぶ。 輪郭があったはずの丘に向かって歩きだす。 すすきを抜けると、深い溝が現れる。 飛び越えなければ先には進めない。決死の思いで飛び越える。 飛び越えた先の丘を目指して歩く。 頂上に登ったが人は見つからない。 絶望すると、今、歩いて来たすすきの方向から声が聞こえる。 振り返ると見覚えのある建物の廃墟。さっきまで居た研究所に見える。 混乱する意識のなか、また声が聞こえる。 視線を声の方に向けると、その瞬間から世界が薄れていく。これで元居た時間に戻れる。 そう思う中、意識が消えていく。 目を覚ました。そこはすすきの中だった。 目を上げると、丘の上に人の輪郭を見つける。大声で叫ぶ。 その輪郭はこちらに振り返る。その輪郭に会おうと、足を踏み出す。 足を土にすくわれ跪いてしまう。 再び視線を丘に向けると、人影は消えている。もう一度大声で呼びかける。 丘の上にいるはずの人に会うために歩きだす。 すすきを抜けると溝が広がっている。飛び越えなければ先に行けない。 飛び越えようとする姿勢に構えたとき、違和感を覚えた。 同じことを繰り返してはいないか。丘に登るまでの体の動きがなんとなく分かっている。気持ちとは別に体が勝手に動く。そして丘を登りきった。 そこに声の主はいない。それはなぜか。今は分かる。声の主は私自身。 二度の声を聞いた後、意識が消える。 三度、目覚めたとき、またすすきの中にいる。 これからの行動は体も頭も分かっている。繰り返される同じ時間。 絶望の中、心は白けていく。

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小説を読もう2021/04/12
  • 現在の作品繰り返される時の中で