あらすじ
あらすじ
いつの世も、恨つらみ、怨念がなくなることはない。今現在も怨念は人により生み出され、行き場をなくし、漂う。次第にそれ自身が力を持ち始めると、怨霊、鬼と化しヒトへと牙をむく。
ヒトにより怨霊や鬼、魑魅魍魎の存在は「隠」と名付けられた。
普通の人間であれば排除の術がない隠に対抗できる存在。彼らは古より特別な力、咒法を持ち、隠祓いという一翼を担う代わりに法秩序を免れることが出来るアナーキーな存在。彼らを隠儺師と呼んだ。
ある年の春、泰時は隠儺師の拠点の一つである広目寮の部屋で目を覚ます。そこには晶馬がおり、自分が無事に広目寮へ運ばれて来た事を確認する。住んでいた比叡山の悪鬼の門が開かれ、戦場と化した村から一人だけ逃がされた事や自分の弱さを戒めるが、自分に何が出来るかを模索しようと己を奮い立たせる。
広目寮を案内された泰時の目に飛び込んできたのは庭に咲く満開の桜。そしてその根元に咲き乱れる花の絨毯と、そこで気持ちよさそうに眠る金髪の美男子だった。広目寮の仲間との出会いに胸を躍らせる泰時だったが、出会ったのは泰時の甘さを非難する金髪の花絨毯王子、太上清與だった。
他の隠儺師が泰時を受け入れる中、清與だけが不機嫌に突き放す。しかし泰時がなんとか前を向こうと足掻く姿に心折れると、徐々に力を貸すようになる。
隠儺師の仲間と隠祓いをこなしていく中、それぞれが抱く縛り、苦悩が明らかになっていく。それは隠儺師という過酷な世界から弟を守りたい兄の姿、若くして膨大な責任を背負いたくましく生きる女の子の姿、過去に大切なものを無くし必ず強くなると誓った男たちの姿、信念を貫き常に強くあり続けようとする女性の姿。そして咒いを扱う者と言われ家から追い出され、自分を悲観しながらも常に前を向き、多くを語らず泰時を導いてくれる清與の姿だった。
そして泰時の住んでいた比叡山に存在する最大の鬼門が開かれた本当の理由が徐々に明らかになっていく。それは古より隠儺師の影に隠され、咒いとしての咒法を継承していた太夫衆の悲しく切ない思惑であった。太夫衆の計画は300年に一度覚醒する大蛇を目覚めさせ、今の状況を破壊すること。
大蛇の封印には四神の作る法陣と太上家の咒符が鍵となる。若く未だ力不足の彼らに襲い掛かる試練。隠儺師が団結し、大蛇討伐への戦いが始まる。
それぞれに自分の役割を担い奮闘する隠儺師たち。命をかける者、覚悟を全うする者、自分自身との戦いに打ち勝とうともがく者、各々の思いを抱き、それがさらに己を強くさせる。
泰時が持つ四神の法陣が完成し、清與の咒符を隠儺師一丸となって大蛇にぶつける。太夫衆の陰謀を打破することに成功した隠儺師たち。
傷が癒えるまでに時間も要したが、また広目寮の庭には満開の桜が咲いた。そこには以前とは違うたくましい泰時と清與、仲間の姿があった。