あらすじ

「ね、どうしてこんな雨の中で歌っているの?」  そうやって問われたのは、他に誰もいない橋の上。    ずぶ濡れでギターを持った僕は、さっきまで歌っていた姿勢のまま固まって。  それから、あぁ、とか、うぅ、とか言葉にならない音をいくつか漏らした後に。  「喋るのが下手だから……ですかね」  なんて、答えになっているのかなっていないのか、よくわからない言葉を返していた。    そんな僕の問いに、女の人は不思議そうに首を傾げた。  慌てて何か取り繕おうとしたけれど、うまく言葉が紡げない、いつも通りの僕だった。  ただそんな僕を、彼女はどこかおかしそうに微笑んで見ていて。  「あはは、不思議くんだね」  それから、そんな言葉を僕にくれた。  ある梅雨の頃の雨の中、誰もいない橋の上、ずぶ濡れのギターをぶら下げた僕は、そんな風にみどりさんと出会ったんだ。

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カクヨム
カクヨム2024/05/24
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