あらすじ
積極的安楽死が合法化された、2029年の日本。青年・望月新は、とある出来事から民間の安楽死業者である「安楽屋」に足を運ぶ。彼を出迎えたのは、一癖も二癖もある少女・日下部伊吹だった。
安楽屋では安楽死に加え、顧客の最期の願いを叶えるらしい。新の口から飛び出した「誰かと一緒に死んでみたい」という一言により、二人は安楽死までの数日を共にする。伊吹と過ごすうち、人生に僅かな希望を見出す新。彼女に翻弄されつつも最終的に安楽死をキャンセルしたのだった。
その後、新と新の幼馴染・芽久は安楽屋で働くことに。そこへ大人気VTuber・赤星まあずもとい赤坂星夏が来店。星夏の死を阻止しようとする芽久を横目に、新は星夏にとって最善の道を探そうと試みる。そして彼女を探るうち、希死念慮の正体が「まあずと自分のギャップ」であることが分かった。自身も配信活動を行う芽久は、打開策として「安楽死を賭けた配信対決」を星夏に挑む。芽久は配信用のキャラクターも捨て、本音で星夏に向き合っていく。紆余曲折の末対決に負け、望んでいた安楽死も叶わなかった星夏だったが、その顔は一点の曇りもなく晴れていた。
星夏を救った安楽屋一同。次の客は、恋人の死の真相を探るサラリーマン・金子梓だった。協力人となった新は梓の言動に違和感を覚えながらも、彼を救える可能性を信じ行動する。しかしその行動が「梓を救うため」ではなく「ただ死なせないため」のエゴだと梓本人から指摘されてしまう。人間の死を避けたがる本能と、梓にとっての最善を叶えたい理想の狭間で揺れる新。やがて梓の恋人が転落死したビルの屋上に彼を呼び出す。足を滑らせた梓の手を掴み、二人は落ちていく。梓はかつて恋人が残した言葉に新の行動を重ね、安楽死を選びつつも、最期に心から感謝を述べた。
安楽屋の三人は梓の墓参りへ。強い自責と僅かな希望を抱え、新は前に進むことを選ぶのだった。