あらすじ
ゲームに漫画。そして、ラノベを始めとする小説たち。北条久美は、これらをこよなく愛するオタク中学生。
ある時久美は、父親から再婚を考えていると聞かされる。
相手の女性は久美も好きなのだが、ひとつ問題が。彼女には久美と同い年の息子がいて、再婚するとその男の子とも家族になる。
男子に慣れていない久美はひとつ屋根の下に男の子がいるというのに不安を感じる。
しかも彼女は、バレたら再婚が一気に白紙になってしまうかもしれない、大きな秘密を抱えていた。
※ネタバレ注意
【キャラクター設定】
『北条久美』
マンガ、アニメ、乙女ゲーム、ラノベといったオタク趣味全開な、中学2年生の女の子。
中でも、義理の兄妹の恋愛を書いたラノベ、『お義兄ちゃんと、一つ屋根の下』は、ネット小説で公開してすぐから、更新される度にコメントを残すほどの大ファン。
しかし、父親の再婚と、それにより義理の兄ができるかもしれないと聞き、そんな相手がそういう本のファンだと知られたら気まずくなるかもしれないと思い、黙っておくことを決意する。
『佐野悠里』
久美と同じクラスのモテ男子。久美の父親の再婚相手の息子で、久美にとって義理の兄になる。
リリィという名前でネットに小説を投稿していて、代表作である『お義兄ちゃんと、一つ屋根の下』は書籍化されている。
小説を書いているのは周りには秘密にしていて、特に久美には、義理の兄になるやつが義兄妹の恋愛ものを書いていると知られたら気まずくなるかもしれないと思い、絶対に隠しておくことにした。久美が『お義兄ちゃんと、一つ屋根の下』のファンだと知った後も、自分が作者と知ったらイメージが壊れるかもしれないと思い、ギクシャクしていた。
久美に全てを打ち明けた後は、一転して甘々になる。
『北条哲夫』
久美の父親。久美が小さい頃母親が亡くなってからは、彼が一人で久美を育ててきた。
仕事が忙しく家にいないことも多いが、時間があれば久美のために使うようにしている。
洋子との再婚を望みながらも、実際にやるかどうかは子供たちの意見を尊重するスタイル。子供たちが賛成したら、すぐさま入籍し、あっという間に新しい家族となる。
『佐野洋子』
悠里の母親で、哲夫の再婚相手。美人。
少女マンガや恋愛小説が好きで、悠里が小説を書くようになったのは彼女の影響が大きい
哲夫と同じく、子供たちが再婚に賛成したら途端に新生活に突入するという、すごい行動力の持ち主。
その一方で、久美と悠里のギクシャクした状態に気づき話を聞いたりもする。
『菅原小鳥』
久美や悠里のクラスメイトのモテ女子。悠里のことが好き。
久美と同じ図書委員だが、なりたくてなったわけでなく、本には興味なし。
久美と悠里が義理の兄妹になったことを知ると、久美に近づき、悠里を好きだから協力してと持ちかける。
久美がそれを断ろうとしたら、彼女が『お義兄ちゃんと、一つ屋根の下』のファンであることを持ち出し、義理の妹がこんなキモイ本のファンだと知ったら悠里がどう思うか、などと言って久美を脅そうとする。
【長編化した際のプロット】
中学二年生の北条久美は、ゲームにマンガ、そしてネット小説をこよなく愛するオタク少女。
夏休みに入ってすぐ、久美は父親が再婚を考えていると告げられる。久美も、相手の女性、洋子のことは好きなので、すぐに賛成したかったが、気になることがあった。
洋子には久美と同い年の息子がいて、再婚するとその子とも家族になるということ。男子に慣れてない久美は、上手くやっていけるか不安になる。
さらに、久美のオタクライフの中でも最推しの作品は、ネット小説発のラノベ、『お義兄ちゃんと、一つ屋根の下』。義兄妹のラブコメなのだが、実際に義理の兄妹になる相手がこんな本にハマっていると知られたら、気まずくなるかもしれない。そう思った久美は、この本のことは絶対に秘密にしようと決意する。
洋子の子供と、それぞれの親と一緒に初めて顔合わせする日。そこにいたのは同じクラスに通うモテ男子、佐野悠里だった。
男子と家族になるかもしれないというだけでも緊張するのに、その相手がモテ男子となると、ますます緊張してくる。
だが二人だけで話をして、お互い家族の幸せを願っていることがわかり、少し打ち解ける。
二人とも再婚には賛成だと伝えると、それぞれの親はすぐに入籍や新生活の準備を始める。
夏休みの終盤。親同士が正式に結婚し、新しい家に引っ越しをする。だが荷物を運んでいる途中、久美は自分の荷物の入った箱を落とし、中身が飛び出る。
拾うのを手伝おうとする悠里だが、その時、『お義兄ちゃんと、一つ屋根の下』を見られてしまう。
少し時が流れて、夏休み明けの新学期。
学校では義理の兄妹になったことを秘密にしている久美と悠里だが、久美はそれ以上に心の距離を感じていた。
『お義兄ちゃんと、一つ屋根の下』を見られて以来、悠里は急に態度が変わった。顔を合わせても態度は妙によそよそしく、以前より確実に会話が減っていた。
引かれたんだと思い、落ち込む久美。
『お義兄ちゃんと、一つ屋根の下』が悪いというわけでもないので、ファンであるのは今までと変わらない。ネット小説版が更新された時は今まで通りすぐに読み、コメントを送る。所属している図書委員の仕事で図書室に行った時は、図書委員権限で入荷してもらった書籍版を眺めてニヤニヤする。だが、どこか心はモヤモヤしたまま。
そんな中、悠里が図書室にやってきて、同じ図書委員でありクラスのボス的女子の菅原小鳥が、悠里にアプローチしているのを見る。
やっぱり悠里と自分とじゃ住む世界が違いそうだなと思いながら、帰宅する久美。すぐにお風呂に入ろうと脱衣場の戸を開くが、そこには着替えている途中の悠里が。
慌てて謝り、悠里もすぐにそこから出ていくが、これで余計に溝が広がったと、ますます落ち込む。
翌日、悠里は風邪をひき、学校を休むことになる。
久美が学校まで行く際、洋子が途中まで一緒に行こうと言う。そこで、悠里とうまくやれているかと聞かれ戸惑うが、話していくうちに、今はこんなぎくしゃくした状態だが、自分自身は悠里と仲良くなりたいと思っていることに気づく。
悠里と仲良くなるためにはどうすればいいか、悩む久美。そこで考えたのは、『お義兄ちゃんと、一つ屋根の下』のストーリーを参考にすること。
ギクシャクしだした原因でもあるし、恋愛要素の多い作品だが、義理の兄妹になった二人が家族として仲良くなっていく過程も書かれているから、参考にできるところはあるはず。
とりあえず、風邪をひいたヒーローに、主人公の女の子がお粥を作るという場面があったので、家に帰った後、それに習って悠里のためにお粥を作ることにする。
体調の戻ってきていた悠里は、久美の作ったお粥を食べ、お礼を言う。少しは距離が縮まったかなと思った久美だが、そこでうっかり、『お義兄ちゃんと、一つ屋根の下』に出てきたセリフを言ってしまい、悠里がそれに気づく。
これはまた引かれてしまったかもと大慌てになる久美。だがその時悠里は、自分が『お義兄ちゃんと、一つ屋根の下』の作者だと言う。
義理の兄になる相手がこんなの書いてると知ったら引かれるかもしれないから、隠そうとしていた。久美がファンだと知った後も、作者は女性だと思っていただろうから、男の自分が書いてると知ったらイメージと違ってガッカリするかもしれないと思って言い出せなかった。だけど自分の作品のファンがすぐそばにいると思うと変に緊張して、どう接したらいいかわからなくなっていたと話す。
だが、悠里が大好きな小説の作者と知った久美は大喜び。今までもこれからも、大好きな作者と作家様だと伝える。
悠里もまた、久美がネットでいつも応援してくれていたことにお礼を言う。
これがきっかけで打ち解けた二人。『お義兄ちゃんと、一つ屋根の下』の話だけでなく、普段から会話することも増え、お互いの持ってる他のラノベやマンガの貸し借りもするようになった。
さらに悠里は甘々な言動をするようになり、時折久美をドキッとさせる。
そんな中、悠里が久美に相談があるという。
『お義兄ちゃんと、一つ屋根の下』の主人公の女の子にオシャレな服を着せたいが、女の子の服がよくわからず、久美にアドバイスしてほしいとのこと。
二人で実際に服屋に行き見て回るが、その現場を菅原小鳥に見られる。
それがきっかけで、二人が義理の兄妹になったことを話し、騒がれるのは嫌だから、周りには黙っていてくれないかと頼む。
了承する小鳥だが、翌日学校で久美を呼び出し、悠里のことが好きだから協力してくれと言い、内緒でプライベートの写真を撮ってくれないかと頼む。
久美はそれを断るが、そこで小鳥は、久美が図書室に『お義兄ちゃんと、一つ屋根の下』を入荷させたことを持ち出し、義理の妹がそんなキモイ本のファンだと知ったら悠里がどう思うか、などと言って脅す。
だが、悠里は既にそれを知っているし、そもそもその本の作者。勝手にしてと言うが、そこで考える。
小鳥が悠里にさっきのことを伝えた場合、『お義兄ちゃんと、一つ屋根の下』を指して、キモイだのこんな本だの、罵詈雑言も一緒に言いそうだ。
大切な作品をそんな風に言われたら、きっと悠里は傷つく。
それに悠里は、自分が『お義兄ちゃんと、一つ屋根の下』の作者であることを周りに隠しているが、それがバレることいかもしれない。
そこまで考えた久美は、仕方なく小鳥に従うことにする。
だが悠里の写真を撮ろうとしてもうまくいかない。
小鳥にそれを伝えると、小鳥は怒りながらも、それなら今度の休みに久美の家に遊びに行くと言う。そうすることで、プライベートの悠里と会う魂胆だ。
しかし休み当日、それまで予定のないと言っていた悠里は、急遽朝から出かけ、夕方まで帰らないという。
家にやってきたからそれを知った小鳥は、それなら悠里の部屋に入ろうと言い出す。
止める久美だが、それに小鳥は激怒。あんなキモい本読んでるってことバラすよと怒鳴りつける。
そこに、出かけていたはずの悠里登場。最近久美の様子がおかしいのに気づいていて、小鳥との間にあったことと似たような展開を小説で書いていたため、何があったか想像できていた。出かけていたのも、途中で戻って様子を見るため。
悠里は小鳥に、『お義兄ちゃんと、一つ屋根の下』の作者が自分だと告げ、小説はいくら貶してもいいが、久美に何かするなら許さないと言い放つ。
逃げるように小鳥が帰った後、悠里は久美に向かって謝る。自分の書いた小説を読んでいたせいで嫌な思いをさせたのが申し訳なかった。
自作を好きと言ってくれる人をそんな目にあわせるくらいなら、作者というのをバラしても、どんな悪口を言われてもかまわないと言う。
そこまで聞いた久美は、家を飛び出し、小鳥の後を追う。
そして『お義兄ちゃんと、一つ屋根の下』をわたし、これは悠里が少しでも読者に楽しんでもらおうと一生懸命書いた本であり、悪口を言うなら読んでからにしてと言う。
その日の夜、小鳥から電話があり、謝罪と、本が面白かったことと、悠里が作者というのは誰にも言わないことを告げられる。
ホッとする久美と悠里。
それから悠里は、久美にはいつだって元気をもらっていたと言う。ネットに小説を投稿してから初めてコメントをくれたのが久美であり、久美がいなければ、本を出すこともなかったかもしれないと、お礼を言われる。
同時に、胸がドキリと高鳴り、悠里に恋をしているのだと気づく。
後日、久美が誕生日を迎え、家族四人で祝う。
悠里からプレゼントとして、以前一緒に出かけた服屋で久美が気に入っていた服を贈られる。
その時、悠里に小声で、久美が好きだという含みのあることを言われるのだが、久美はそれに気づかない。
だが、悠里と家族になれて本当によかったと思うのだった。