あらすじ
とある夜。男はそっとドアを開け、家の中を進む。彼が目指していたのは、この僅かに聞こえる音のもと。心臓はそれを阻害、張り裂けそうなほど激しく鼓動していたが、気づかれてはならない。不意打ちを狙っている。ある意味ではそうだ。彼は泥棒……違う。それはある意味、相手のほうだ。
――ガチャ!
「え、あ、あなた、出張じゃ! あ、こ、これは違うの」
「お前ぇ……いや、お前らぁぁぁ……」
彼が今朝、妻に出張と偽り家を出た理由。前々から浮気を疑い、この夜。その現場を押さえよう考えたのだ。
その企みは成功といえた。だが、彼は何度も頭の中で(苦痛を伴いつつ)シミュレーションしたにもかかわらず、戸惑いを見せたのはその相手の男というのが
「……よう」
「よう、じゃねえぞぉぉぉ、お、お前、親友だと思ってたのに!」