あらすじ
【あらすじ】まだ、プロペラ飛行機という乗り物ができて十数年ほどの時代。
少年アルテルは、冒険家の父を飛行機の事故で亡くし、次いで母親も病のため失い天涯孤独の身の上となる。
当時、まだ12歳ほどだった彼は牧師夫婦の世話になる。
牧師夫婦には、アルテルと同じ歳の一人娘のポーラがいた。体が弱く寝込みがちであったが明るくしっかり者だ。
二人は、互いを思いやりながら成長していく。
アルテルが15歳となったとき、ポーラの病が死に至るものだということを知る。治療には高価な必要だ。
大切な人を救うために、アルテルは自分にできることはないかと悩む。そこで、父親の冒険仲間が郵便を飛行機で運ぶという仕事をしていることを知り雇ってもらう。
飛行機には故障がつき物のこの時代において、命がけの仕事の収入は高額であり、ポーラの薬代に見合うものであった。
働いた金のほとんどを彼女の両親に渡すアルテル。
アルテルが飛行機乗りとなり3年。彼は18歳の立派な青年に成長した。
秋の終わりのある日。ポーラが倒れ今晩が峠であると告げられたアルテルは、彼女が死ぬかもしれないという現実を受け入れることができず飛行機に乗り飛び出してしまう。
何度となく飛んでいる飛行経路だが、その夜は何かが違っていた。
自暴自棄なったアルテルの飛行機の後部座席に、いつの間にか病で伏せっているはずのポーラが乗っていた。
どうしてここにいるのかを聞けばこの幻は消えてしまうと思い、アルテルは静かにポーラの話に耳を傾ける。
最初で最後の二人だけの夜間飛行。
彼女の口から語られるのは、懐かしい二人の思い出ばかり。孤独な幼い頃、気がつけばいつもポーラがそばにいてくれていたことが思い出され彼の胸は締め付けられる。
最後かもしれないのに、そばにいることもせず本当の気持ちも伝えぬまま逃げだした自分を恥じ入るアルテル。
そんなとき、飛行機のエンジンにトラブルが発生する。
ポーラが死ぬのなら、自分が飛ぶ意味もないと死に向かおうとする彼をポーラが励ます。
その想いが届き、アルテルはエンジンを回復するために決死の賭けに出る。そのとき奇跡が起こりエンジンが回復する。
その安堵感の中、ポーラを振り返ると彼女はいつの間にか姿を消していた。
アルテルは傍らに残るポーラのぬくもりを感じながら、翼端に登る朝日を見て涙する。