あらすじ
身ごもったことで聖なる力を失った聖女ラヴィエラ。
無能の聖女と呼ばれた彼女の娘、アンジュは孤児院で虐待を受けながら暮らしていた。ある日孤児院に訪れたロージェル伯爵に引き取られたアンジュは伯爵家の令嬢として美しく成長する。
無能の娘は無能、孤児院でそう蔑まれていたアンジュだったが伯爵家の穏やかな生活の中で聖女としての力に目覚める。ロージェル伯爵夫妻からは「この能力は秘密にするように」と命じられるが、自在に操れるまでに密かに特訓を重ねていた。
18歳になったアンジュは参加した夜会で美貌の青年カイル・エヴァリストに出会い、急に倒れたカイルを聖女の力を用いて介抱する。そのとき情熱的に口説かれるのだが、エヴァリスト公爵家にはとある秘密があった。
討伐した悪竜レーヴァテインの呪いを浴びた結果、嫡男に凶悪なレーヴァテインの意識が承継されるようになっていたのである。
新月の夜になると暴れ狂うレーヴァテインの力を止める方法をアンジュの聖力に見出した黒竜公カイル・エヴァリストはアンジュに求婚する。
聖女としての力を持つアンジュにその身を捧げてもらうためだけの愛のない結婚だったはずだが、カイルは次第にアンジュの厭世的な価値観や皮肉びた態度を「溶かしてあげたくなった」と溺愛するようになり――。