あらすじ
わたしには三分以内にやらなければならないことがあった。ルームシェアのために仮押さえしている住宅の内見に行った彼女が、その部屋を勝手にキャンセルしてしまったというのだ。その真意をたずねるわたしに、彼女は言った。収納スペースに置いてある箱の後ろにカビたところを発見、さらにはずれかけたドアの板に指を引っかけてささくれを作ってしまい、大家に苦情を言おうとしたら「いま話さないで」とぶっきらぼうに言われた、ということだ。それで「トリあえずキャンセルした、だいたいあの業者あやしかったでしょ」などと言うので、ひとをそんなふうに色めがねで見てはいけないなあ、とわたしは言ったのだが。
KAC2024をふり返る物語。