あらすじ

1988年。北海道・釧路の高校から東京の大学へ進学したぼく、須崎海広(みひろ)は、陸上部の入部選抜に漏れて行き場をなくしていた。同級生の佐久間弘一に誘われて見学に行った天文部で、時岡沙枝という女子部員に心惹かれる。彼女のそばには幼なじみの高仲渉(わたる)がいて、優秀な彼に、ぼくは劣等感を持つ。 流星群観測を専門とする先輩の熱意や、ロマン・ロラン『獅子座の流星群』を読んだ経験から、ぼくは天文部の一員となる。この部の重要な活動の一つに、大学祭のプラネタリウム製作があった。渋谷・天文博物館五島プラネタリウムを理想に、ぼくも製作に参加するが、複雑な機構や規模の大きさが壁となり、企画は皆の目指した形にならずに終わる。 天文部の活動は、学生が教養部キャンパスにいる二年間で区切られ、プラネタリウムを作る機会もこの期間にしかない。1989年、入部してきた一年生とともに二度目のプラネタリウム製作が始動する。この年の投影番組は、同じ北海道出身の原島なおみと時岡沙枝が共同で担当。「星の文学者」野尻抱影を語り手に、獅子座流星群の大出現を想像する内容だった。 さまざまな問題を乗り越え、プラネタリウムは上映の日を迎えることができた。しかし、親しくなれたと思っていた沙枝はその後、ぼくらの前から姿を消してしまう。 それから12年。2001年3月、五島プラネタリウムの閉館を前に集まった同期の間で、『ミレニアムの星空』という商業プラネタリウム用番組が話題になる。それは、大学祭の番組を流用したとしか思えない内容だった。沙枝が製作者に名前を連ねているが、ぼくらの誰も事情を知らない。 なぜ彼女はそんなことをしたのか。悩むぼくの背を高仲が押し、ぼくは12年前に途切れた彼女との時間を、再びつなごうと走り始める。 イギリスの天文学者による予測は、この年、獅子座流星群が東アジアに大流星雨をもたらすと告げていた。果たして、それは現実になるのだろうか。そして、沙枝の真意は……。 ※全20章を各3回ずつに分割して掲載します。各回の小見出しはWeb連載用のものです。 ※本文190,370字(文献リストを除く)。 ※実在の団体名や歴史上の人物名等が登場しますが、物語はフィクションです。天文現象は実際のものです。 ※「ステキブンゲイ」でも公開しています。

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カクヨム
カクヨム2024/02/23
  • 現在の作品二〇〇一年のプラネタリウム