あらすじ
あらすじ
人間関係を築くことに苦手意識があり、周囲の者の第二次性徴をうまく受け入れられないまま、身体だけは大人になってしまった。そんな大学生の斉賀永一郎は、友人に懇願されて、行きたくもない合コンに参加することになる。
合コン会場は居酒屋。合コンの最中も女性からの好意を受け入れられず、突き放すような態度をとって場の空気を悪くしてしまう。簡単なコミュニケーションすら上手くとれない自分に嫌気がさしている時、斉賀はその居酒屋でアルバイトとして働いていた、同じ大学に通う持留裕と出会い、関わりを持つことになる。出会って間もないにもかかわらず、何故か持留とは楽しく話せるのだった。二人は後日、大学の授業で再会する。友愛の情を持って、持留との関わりを増やそうとする斉賀。
一方持留は、親切にしてくれる斉賀に恋をしてしまっていた。物心ついた頃から、同性愛者の自覚がある持留は、異性愛者と思しき斉賀への不毛な恋心に苦しむと同時に、これまで経験したことも、これから経験することもきっとない、想い人との淡い青春の日々を拒絶することはできず、ただの友人としてそばにあろうと努める。斉賀と出会う前は、性に奔放で相手を定めずに色々な人と体の関係を持っていたのだが、彼への気持ちが募りそういったことは出来なくなる。以前、定期的に会って枕を共にしていた石田という男の献身的な誘いも断り、自分が以前と明らかに変容してしまったことに気づく。
持留の気持ちが揺れる中、二人は夏休みを利用して、持留の故郷である鹿児島を旅行する。彼の両親はもうすぐ離婚することになっていて、住む人がいなくなる実家は取り壊しが決まっていた。持留は両親の離婚よりも家の取り壊しを寂しく思っている。斉賀は人と別れるよりも、物や建物と別れる方が寂しい気持ちを理解することができた。遠慮する持留を説得して、取り壊される前の実家を一目見に行く。人になかなか理解されない感情を共有しあって、特別な思い出を作り、二人は絆を深める。斉賀は共に泊まったホテルにて、自分が持留に向ける感情に性欲や愛情が混じっていることに気づく。
夏季休暇が明けて、就活に向けて忙しくなる中、持留への恋心を自覚した斉賀は、些細なことで嫉妬をして彼に腹を立ててしまう。八つ当たりで、持留と会うのを拒んだ次の週、彼が大学の講義に一週間ほど来ておらず、連絡も通じないことを友人を通して知り、彼を探すために奔走する。
ようやく見つけた持留は金銭面で困り事を抱えており、そのため一度親と話し合うために鹿児島に帰っていたと漏らす。持留を探す時間、斉賀は彼に二度と会えないかもしれないという恐怖を感じており、「もう離れたくない、共に暮らしたい」という気持ちを告白する。それを受けて持留は自分の恋心を伝えて、二人は自分たちが両思いだと知る。晴れて恋人同士になった彼らは就職活動を終えた後、一緒に暮らすために斉賀の両親へ挨拶に行くのだった。