あらすじ
ある日の午後。快晴の空。ただしビル群に遮られ影と、そして人混みの中を歩いていた男はふと妙だと感じた。
「重 箱の隅をつつくような言い方するなよぉ」
「く さっ!」
「ハチ! あ、ハエだったわ」
「なな! なぁなぁなぁってば。もういいじゃーん」
この人混みだ。周りの人の会話が自然と耳に入る。
すれ違うその瞬間にほんの一語、強調されるように。あとは遠ざかるため尻すぼみに。だから会話の前後も内容も把握できない。それはどうでもいいのだが、しかし、どこか妙なのだ。ただ、いまいちその何かが分からない。