あらすじ

株式会社スケープゴート。特殊なサービスを提供する非営利企業である。  スケープゴートが提供している特殊なサービスとは、『身代わりサービス』と呼ばれるもの。  それは、命の危険にある依頼者を、身代わりを立てることでその命を守るというサービスである。依頼者はその対価として、身代わりとなる人間の願いを叶えなければならない。  しかし、その身代わりを担うのは、スケープゴートの社員たち、すなわち、生きた人間たちであった。  夏川奏太には、雪代千影という恋人がいた。自身の不遇な生い立ちから、感情が欠落していた千影は、奏太との出会いを通して、少しずつ様々な感情を知っていく。そんな中、千影は突然病に伏し、余命宣告を受けてしまう。  奏太は千影を救うため、インターネットで偶然見つけたスケープゴートのサイトをきっかけに、大学を中退しスケープゴートへ入社する。  スケープゴートの新人研修で、奏太は千影の身代わりになるための形代を作ることに。形代は身代わりサービスに必要な道具。奏太は形代としてうさぎのぬいぐるみを作り、千影への誕生日プレゼントとしてそれ渡す。  その後、急に容体が悪化した千影は死にそうになるが、奏太が身代わりとなったことで助かる。  後日、千影は、奏太が生前勤めていた株式会社スケープゴートの事務所にて、社長の神屋敷と対面。神屋敷から奏太の願いを聞くことに。奏太を失って傷ついた千影は、神屋敷を通して奏太の千影に対する思いに気づき、奏太の願いを叶えることを決意する。  安斎幸香は、クラスメイトの天見晃がいじめに遭っているのを傍観する日々を続けていた。  ある日、良心の呵責に耐えられなくなった幸香は、インターネットで偶然スケープゴートのサイトを見つける。そして『身代わりサービス』に興味を持つのだった。  委員会の手伝いで帰りが遅くなった幸香は、学校近くの公園の水場で傷を洗い流している晃を見かける。幸香はつい自分のハンカチを渡して、急いでその場を後にする。  翌日、教室で幸香が晃に渡したハンカチがバラバラに破かれたのを発見。いじめっ子たちは晃に罪をなすりつけ、全員の前で晃に幸香に対して謝罪させる。  その日の夜、買い出しに出かけた幸香は、公園のベンチで晃に会う。晃から再び謝罪を受けた幸香は、自分こそ晃を助けることができずに申し訳ないと詫びる。晃との会話を通し、晃を助けたい幸香の思いは高まった。  次の日、夜の公園で幸香と晃が一緒にいるところを目撃したいじめっ子たちが、幸香に対して嫌がらせを始める。そして、晃の味方じゃないなら、晃を屋上から突き落とせと脅してくる。幸香は指示通り、晃を屋上から突き落とす。しかし、突き落とされた晃は死なず、幸香が命を落とすことになったのだった。  後日、晃は幸香が学校をすでに退学し、スケープゴートに入社していたことを知る。そして、晃が生きているのは、幸香が身代わりになってくれたからだということに衝撃を受ける。  晃は幸香のために、彼女の願いを叶えることを誓うのだった。  富小路栄蔵は、政治家としての地位を盤石にするために、悪事に手を染めてきた。  ある日、そんな富小路の元に脅迫状が届く。スケープゴートが提供する『身代わりサービス』を噂に聞きつけた富小路は、スケープゴートに身代わりを依頼することに決める。  富小路の身代わりを務めるのは薄井拓望。薄井は職場での嫌がらせやいじめを受けており、それが原因で飛び降り自殺を図ろうとしていたところをスケープゴート採用担当にスカウトされたのだった。  闇献金パーティに参加した後の帰り道、富小路は秘書の永守遙とボディガードの鮫島剛に裏切られ、廃工場に連れ去られてしまう。実は、永守と鮫島は実の兄妹で、二人は富小路の策略によって死んだ自分たちの父親の仇打ちのため、富小路を襲ったのだった。  富小路は永守に拳銃で胸を撃たれるが死ぬことはなかった。隙をついた富小路は、隠し持っていた拳銃で永守と鮫島を返り討ちにする。  富小路が撃たれたことで、身代わりとなった薄井は命を落とした。  命が守られた富小路は、薄井の願いを叶える気などはなからなく、願いはいつしかそのまま忘れ去られていった。  しかし、一年後、富小路は薄井の願いを叶えようとしなかったことから、債務不履行の責任を負うことになり、命を落とすことになる。  スケープゴートに勤める数少ない社員たちは、これまでの依頼を通して、人間の本性について考えた。そしてその答えを見つけることになる。

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カクヨム2024/05/05
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