あらすじ
田舎に住む七〇歳の宗一郎は妻を五年前に亡くし、夏休みだけ帰省する孫に会えるのを何よりも楽しみにしていた。
だが夏休み前に息子から連絡があり、その年は帰省できない、とのことだった。孫も成長していろいろと用事があるらしい。
残念だが仕方ないと諦め、縁側から山々を眺めていると、ドーン!という音がして、縁側から見える山の斜面から何かが噴き出しているのを見た。
その場所に近づくと、硫黄の匂いと湯気が立ちこめているのがわかった。
さらによく見ると何らかの生物がいる様子がわかる。
白い二本足の生物が温泉が噴き出している周囲をゆっくり回りながら動いている様子が見て取れた。額から触覚のようなものが生えた人型の生物だ。
その生物はヘルメットを取って宗一郎とコミュニケーションを取ろうとしてきたので、宗一郎も身振り手振りで応えた。その生物は孫より少し年上の女の子に見えた。
宗一郎はその女の子らしき生物を自宅に招いた。テレビを見せ、二杯のジュースを飲み干す頃には日本語を学習したらしく、日本語でお礼を言ってきた。
その生物はレミーと名乗り、自身は地球外生命体だと明かした。チームで地球にやってきてある資源を探しているらしい。他のメンバーは探索中でレミーは留守番を任されていたらしい。
しばらくレミーと話し込み、世間話に花を咲かせる。宗一郎は山の案内もした。レミーはすべてに喜んでくれた。宗一郎も孫が来てくれたかのうように喜んだ。
レミーの仲間の迎えはまだ数日後、ということでその日からレミーは宗一郎の家に泊まり込み、食事も一緒にした。食事はレミーにはかなり好評だった。
数日後レミーから、もうすぐ仲間の迎えが来ることを知らされる。寂しさを感じる宗一郎だが、レミーから一緒に宇宙に来ないかと提案される。
返事を躊躇する宗一郎だが、レミーの仲間達がその様子を見ているうちにその迷いが消えていく。
レミーに似た容姿の子たちに囲まれ、宗一郎は、孫のために用意しておいたすき焼きを振る舞った。宗一郎の地球での最後の晩餐だった。とても好評だった。
その後宗一郎は、それほど躊躇わず、家族の写真だけ持って彼女たちと共に宇宙に旅立った。
しばらくして宗一郎の息子家族は宗一郎が行方不明になったことを知る。息子の貫は父親がもう帰って来ないと悟る。