あらすじ
自分こそが全宇宙で最も完璧な存在であることは疑いようがない事実だと、姫宮美琴は胸を張って言える。
頭が良くて、運動神経が抜群で、黒髪黒目という日本人のスタンダードな容姿ながら誰もが振り返る美少女で、どんな分野においても即座に極められる才能の持ち主である自分は世界ランキングなんてものが可視化されれば間違いなく第一位として燦然と輝いているのだから、ほとんど完璧な自分に敵う人間はこの世に存在しない。
そんな風に自己評価が突き抜けている姫宮美琴だが、それでもほとんどと言わざるを得なかった。
姫宮美琴は女が好きだ。
致命的に性的嗜好が『大多数』とはズレている以上、それは紛うことなく欠点であり、隠すべきものなのだ。
そう考えているからこそ、彼女の存在は姫宮美琴にとって理解できないものだった。
「へい、姫っち。今日も綺麗だねっ! 大好きだよ!」
そう言える隣の席の彼女、宇佐川雪音のことが完璧なはずの姫宮美琴でも理解できなかった。