あらすじ
『闘う理由を考えた…分かったのは、その不可欠さだけ。汚染地帯を駆け抜けろ、敵を捻り潰せ。鉄屑漁りの少女は重機を駆り、地獄からの脱出を試みる。唯一の友を救う為…落伍者の女将校を送り届けるため』
原子力が一般化した未来。世界は体長15mの鉄の巨人を礎に暮らしていた。原子力駆動多脚歩行式車輛、「NAW」。同時期に開発された小型核分裂炉により半永久的な動力源を獲得したNAWは人類の活動のあらゆる局面に置いて不可欠となった。
勿論、それは軍事においても例外では無い。
NAWは元来、軍事目的で開発されたものだ。当然、その企業間の開発競争は国家間のパワーバランスを流動的でより不安定なものへと変える事となる。第二次世界大戦時、各国が戦車や戦闘機をこぞって開発しようと躍起になった様に。
そんな折、プルトニウムやウランの鉱山資源を巡り、企業を代理とした国家間紛争が勃発する。その戦いは時や場所を選ばなかった。資源が眠る用地、インターネット、経済、あらゆる場所が戦場と化し、国際法が擁護しえない全く新たな戦争が巻き起こった。
そして、「崩壊」が訪れる。世界の至る所が、虫食いの様に欠け落ちた。放射能、生物兵器、化学物質、末期的思想と猜疑心。その全てが至る所に空白地帯を作り上げたのだ。
国家は最早、体裁を為さない。それに代わる遥かにちっぽけな利益集団を形成する他無かった。すがるには余りにか細く、役立たずだ。
それでも何が起ころうと、人の本質は変わらない。争い、奪い奪われて、それを口実に再び争うのだ。それは崩壊後も何ら変わらず続いている。
これは崩壊後の話だ。全てが終わった後の物語である。始まりがあれば、終わりがあり、その逆もまた然り。
[用語]
☺︎[NAW(Nuclear Auto Warrior )]:崩壊前の人類を支えた人型重機。体高は15m前後が基本。民間、軍事。あらゆる方面に浸透し不可欠な存在となっていた。但し、燃料が燃料である為、破壊されると放射能汚染をばら撒く。
☺︎[第五空白地帯]:元はメガロポリスとして栄えた都市だったが、当然、標的となり考えうる限りの種類の攻撃を受け、死の土地と化した。防護スーツでも長時間の活動は困難。探索にはNAWが不可欠とされている。
☺︎[コーザ=アストラ]:PMCを前身とする武装組織。第五空白地帯とその周辺における最大勢力。数多くの軍用NAWを保有し、行動規範も好戦的。軍隊を気取るが、その内実はハイテクな追い剥ぎ。
☺︎[第六複合体]:崩壊後、6つの企業が合併して生まれた民間企業。勿論、有限会社。株式など吹き飛んで久しい。軍によって隠匿されていた山奥の研究都市に居を構える。倫理観には多少、疎いが比較的に真っ当な組織。多分…
☺︎[レザボア・ジャッカス]:第五空白地帯を闊歩する追い剥ぎ集団。世紀末に適応したとも、人間としての尊厳を失ったともいえる行動規範を持つ。根城は地下鉄。