あらすじ
薄暗い病室に、60代の男、山瀬滝吉は横たわっていた。彼の過去は詐欺師としての輝かしいキャリアに彩られていたが、5年前に逮捕され、刑期を終えた後は精神病院の長期入院病棟に送られた。滝吉にとってここは、ただの退屈な監獄だった。
ある日、病院の書道コンテストの告知を目にした滝吉は、賞金目当てに参加を決める。書道経験はなかったが、毎日練習に励み、見事入賞を果たす。コンテストの賞金を手にした滝吉は、病院の職員に小説家になりたいと伝え、必要なものを購入するために使うと語った。職員は彼の夢を応援し、滝吉は小説執筆に取り掛かった。
数ヶ月後、詐欺師の半生を描いた小説を完成させた滝吉は、出版社に持ち込み、出版が決まる。小説は大ヒットし、滝吉は巨額の印税を手に入れ、精神病院を退院した。彼は贅沢な生活を送るが、やがて過去の行いがたたり、警察に逮捕される。彼の小説が実際の詐欺事件を基にしていたことが発覚し、被害者たちが訴えを起こしたのだ。
再び獄中に戻った滝吉は、自身がやはり詐欺師であることを認めざるを得なかった。しかし、彼は再び詐欺を企てる。今度は小説家という肩書を利用し、投資家から金を騙し取ろうとする。しかし、計画は失敗に終わり、被害者たちは彼の過去を調べ、詐欺だと見抜いた。懲りない詐欺師の人生は、再び狭い獄中での日々へと戻ったのだった。
滝吉の懲りない性格と、彼の計画が結局失敗に終わる皮肉な結末が、この物語に一筋のユーモアを添えている。