あらすじ
謎のスナイパーが国家公安委員長を射殺し、証拠を消して隠れたのはホテル・ミラージュだった。
警察は東京近郊の宿泊施設へ不審者の調査を依頼、ホテル・ミラージュの警備室でも宿泊者の動向調査が始まる。
その日、ホテル・ミラージュには政府に批判的な小説を書いた久能久門、政府の情報管理システムの受注を狙う商社マンの波野志戸、政府に影響力を持つ新自由主義者の植松孝平、外交官セルゲイ、コンサルタントの鏑木誠司、週刊誌記者の門司翔琉、謎の美女ブッシュ・カレンなどが宿泊していた。
一方、心の病を抱えた売れない小説家、三村剛史は自宅の書斎でゴルド紛争を生き抜いたスナイパー、ミラージュの伝記的小説に腐心していた。そして妻、三村華恋は父親が経営する朧荘で働き、ジビエのために狩猟もしながら、収入のない夫を支えていた。
そんな彼女のもとに、夫から久能久門を殺してくれとメールが届くようになる。心の病のためなのか、面と向かっているときは穏やかな夫なのに、なぜかメールでだけは華恋を殺し屋だと誤解、彼女には殺害のための資金の用意まで依頼してくる。
全ては心の病のせいで、どうしようもなくなった華恋は大学の先輩で今は警察官の遊神肇にすがった。
宿泊客の調査をしていたホテル・ミラージュだったが、これといった容疑者を発見することはなく、夕方、容疑を持たれて連行されたのは設備部で働く雨宮譲治だった。彼はかつて反原発デモに参加し、公務執行妨害で逮捕された過去があった。
そうした中、久能久門は〝朧〟と名乗る謎の人物に自分の殺害を依頼し、波野志戸は息子が狙撃犯ではないかと疑った。
翌朝、ホテル・ミラージュに爆破予告があり、宿泊者がファミレスに退避、部屋に残されたセルゲイのリュックから本物と見まがうモデルガンが発見される。警察がセルゲイに事情を聴く間に、妻のオリガが姿を消した。
セルゲイとオリガはゴルド紛争の生き残りだった。それに気づいたのは鏑木誠司という偽名で雨宮譲治を見張っていた公安部員、鏑矢征爾だった。
彼の指摘で警察官僚、槻田真幾が動く。彼は次期国家公安委員長の席を狙う政治家の子飼いだった。
真幾の段取りで狙撃現場に立ち入ることを認められた鏑矢征爾だったが、そこで国家公安委員長同様、狙撃された。
彼を撃ったのはプロの殺し屋〝朧〟ことブッシュ・カレン。彼女は爆破予告を行って自分の仕事の邪魔になるミラージュを排除、鏑矢征爾と、後に久能久門をも狙撃した。
三村華恋はホテル・ミラージュで遊神肇と会い、久能久門も華恋に対する殺害依頼も精神に異常をきたした三村剛史の妄想だと告げる。
帰宅した華恋は剛史が執筆中の小説を盗み読み、国家公安委員長狙撃事件や久能久門の存在も、すべてフィクションだと理解した。が、剛史の妄想をただすすべはない。華恋は夫の望み通り、彼を撃ち殺すべく、彼が描いたストーリーにのっとり、ビルに上って遠距離狙撃に挑んだ。
華恋が放った弾丸は剛史の書斎の窓に命中したものの、彼をガラス片で傷つけただけで殺すには至らなかった。とはいえ、その衝撃が彼を正気に戻していた。
不思議なことに華恋の銃弾は見つからなかった。
奇しくもその日、国家公安委員長が狙撃された。撃ったのはミラージュなのか?