あらすじ
幽(かそけ)き〝春(あなた)〟を想うことの、
それはいかに、しあわせなことだろうか。
ここは、東京の新宿の裏通りにある、知る人ぞ知る名旅館『彼岸屋』。
春祭りが近く行われるということもあって、旅館は賑わいを見せていた。そんな中、一人浮かない顔をするのは、当旅館の若き主人・彼岸鳴だ。
彼の浮かない顔の理由、それは『彼岸屋』の裏の顔である『神宿』に、未だ春の神が来訪していないのが原因だった。
なんとしても春祭りの行われる月末までにお越し頂かなくては。
鳴は焦る気持ちを隠せず、ただ待つしかできない自分を情けなく思っていた。
すると春の神が来訪したとの吉報が鳴に届いて……?
これは——二つの「ハル」の物語。