あらすじ
ダンジョンのある辺境都市に暮らす、晩年Fランク中年冒険者、リギル。
魔術の才能も剣の才能もなく、底辺としてなんとか日銭を稼いで生活していたところ、暴走した新人冒険者を庇って、ダンジョンで【触れた物を呪物にする】という呪いを受けてしまう。
「……もう無理だな、これ」
探索どころか日常生活にまで支障をきたす呪いのせいで絶望するリギル。
しかし彼は使っていた安物のロングソードが、ダンジョンの深層でしか手に入らない、〝デメリットはあるがそれを上回るメリット〟が付与された武器――【魔剣】と化していることに気付く。
彼は腐れ縁の狐獣人――武器商人クオンの協力を得て、武器を魔剣化させて冒険者に売るという商売を思い付き、小さな店をはじめた。
最初は見向きもされなかったが、魔剣が手に入るとの噂を聞き付け、様々な悩みを抱える冒険者が来店。
力が強すぎて武器がすぐに壊れてしまうことに悩む、オーガ族の少女。
こだわりが強すぎて、抜刀術しかしたがらない東方の剣士。
魔力は高いのに、詠唱が苦手な魔術師。
そうして一癖も二癖もある冒険者達に、これまでの経験を生かして彼らに合った魔剣を作っているうちに、リギルの魔剣作りの腕は次第に上がっていき、ついにはSランク冒険者達すら来店する店となった。
「こうなったら極めるしかないな、魔剣作り」
これは後に、世界唯一の〝魔剣鍛冶師〟として大陸に名を轟かすことになる、一人の男の挫折と栄光までの道のりを描いた物語である。