あらすじ
一番近い駅は、路上にある。
少女が、GO DOWN
降りて来る。
マンションのベランダ階段へ、踏み出す。
電車は進む。
階段マンションを過ぎ去る。
少女の前を、過ぎ去ってゆく。
電車に乗り込む乗客の列の先頭に、スパニッシュオレンジの貫頭衣を着て、フォレストグリーンの翼をはためかせる少女がいる。
『見えんの?』
『ほな、あなたに付くわ』
『へっ?』
『悪いことには、ならへんと思う』
「『もっと大きく、おおらかな視点で、ものごとを捉えろ』、と」
俺と甥っ子は、そのクイズラリー制覇を、今日の目的としている
『なんで、お前がおんねん?』
『いや、付き人としては、ハイ』
『じゃあ、クイズ答えんのに、参戦してくれるわけやな』
『もちろん。
まあ、二人よりも、戦力になるっしょ』
「くうきさん、ありがとう」
空気を、手を、握りしめながら言う。
サファイアは、打ち震えるように固まる。
甥っ子は、手を放す。
サファイアは、一呼吸置いてひざまずき、甥っ子を抱きしめる。
甥っ子は再び、ヘンな顔をする。
「おにじちゃん」
「なんや?」
「くうきさんが、こんどは、からだじゅうで、うごいてる」
俺は、サファイアが甥っ子を抱きしめている図を愛でながら言う。
「空気さんが、《ありがとう返し》してくれてるんやろ」
「わざわざごていねいに、そんなことしてくれんでもええのに」
甥っ子は、にこっと笑って言う。
サファイアの抱きしめる力が、ギュと強まったように思う。
「おにじちゃん」
「なんや?」
「くうきさんのうごきが、からだに近くなったような気がする」
「気のせいやろ」
「気のせいかー」
気のせいやないんやけどね。
死ぬんちゃう、俺。
死ぬかも。
死ぬな、これ。
あああ ‥ ま、えっか。
色々あったけど、ま、総じてOK。
みんな、ありがとう。
その位置は、屋上の縁 ‥ 階段状になったベランダ群の際、だった。
視線を下げれば、スウーと地上へと続く階段ベランダが、見てとれる。
「そのお蔭で、俺は《階段天使》になったと。
以後、サファイアは、俺の師匠になると」