あらすじ
「呼べよ……その男をここに呼べよ!」
夕方。とある家のリビング。夫がバン! とテーブルを叩くと、上に置いてあったマグカップとその中のスプーンが飛び跳ね、音を立てた。
妻の帰りを待つ間、ざわつく心を落ち着かせようと作ったココアには結局一度も口をつけなかった。ただただかき混ぜただけ。その最中、ふと彼が共感を抱いたのは自分の心の淀みと重ね合わせたからだろう。
認めたくはない。まさか、自分の妻が浮気をしているなんてことは。
しかし、帰ってきた妻に『この間、手を繋いで歩いていた男は誰だ?』という彼自身、なんともありきたりな話の切り出し方だと思ったその始まりで妻の顔は見る見るうちに青ざめ、そして自分の推測は正しかったと彼は確信を抱いたのだった。
妻は彼に言われた通り、スマートフォンで浮気相手にメッセージを送った。