あらすじ
「シンプルに弱すぎるんだよな……」
そう言ってAランクパーティーを追放された青年“レイン”。
確かに他のみんなの足を引っ張っている自覚もあったレイン。
女神より授かるスキルは【隙間風(ドラフト)】と呼ばれるそよかぜを生み出すスキル。火おこしにしか役に立たない最弱ハズレとバカにされ、“そよかぜレイン”と笑われていたスキル。
レベルも[32]。もう一年もレベルアップしてないし、これ以上のステータス強化も望めない。
このままではAランクパーティーにはふさわしくないと言うのは充分に理解できる話であるし、支援魔術師が新しく雑用を引き受けてくれていると言う。
「俺は恩を仇で返すようなことを」
苦しそうに呟いたパーティーリーダーにレインは笑顔で追放を受け入れた。「冒険者のイロハ」を教えたのは5年先輩のレインであったのだが、本当にみんな立派になったものだとレインは誇らしくすらあった。
円満な追放とはいえ、寂しくないわけでも傷つかないわけでもない。レインは「慰めてもらおう!!」と失意のまま婚約者の家に向かうが、
「あっ。んんっ、ぁっ、アベルさまぁっ!!」
待っていたのは、領主の息子である伯爵令息の名を叫ぶ婚約者の喘ぎ声であった。
呆然とするレインの前に現れた1人の少女。
「不潔です」
伯爵令息の婚約者である「放浪の公爵令嬢」、「破壊の公爵令嬢」……、数々の異名を持つスキル【監獄{タルタロス)】の“半吸血鬼”アイリスとの出会いがレインの人生を大きく変えてしまう。
そして、レインがこの街のダンジョンに現れる『不可視の暴風竜』の正体であると気づくのは、この街を去ってからであった。