あらすじ
紫式部の『源氏物語』を初めて現代語訳で通読した時、『若菜』の章に衝撃を受けました。「千年前に書かれた物語なのに、こんなにドラマチックなの?」と思って。若い頃は万事が思いのままになった光源氏も、年をとるとそうでもなくなる。女にもモテなくなる。そして、女三の宮を正室に迎えた事をきっかけにして、物事の歯車がどんどん狂い始め、失意のなか光源氏は孤独に寂しく死んでゆく。まさに因果応報。この時から私は年老いた光源氏に興味を覚えました。そして、若いプレイボーイの光源氏ではなく、年を取った光源氏を描いてみたいと思いました。世代間の溝。大人の中の子供。失って初めて分かる幸福がテーマです。