あらすじ
「隣国の王太子様が婚約破棄されたらしいわよ」
「えぇ!?まあ、確かに婚約者のアリス様は..................、ねぇ。」
そんな井戸端会議をしていたご令嬢達の噂話を小耳に挟み、わたくしローザはいても立ってもいられなくなり、隣国の王子様のシュヴァリエ様とお話をすることにした。
そこでわかったことは、婚約者であるアリス様は、持ち合わせの妖艶さで貴族達を惑わせ取っかえ引っ変えしていたらしく、挙句の果てにシュヴァリエ様に婚約破棄を突きつけたそうだ。
ーー彼は何も悪くないのに..............。
いけない、明るくいきましょう。
「それよりほら!せっかくシュヴァリエ様と一緒にいられるんですから、もっと楽しいお話をしましょうよ!」
「楽しい話、ですか?」
「はい!なんでもお話くださいませ!」
わたくしがそう言うと、シュヴァリエ様は少し考えるそぶりを見せた後、口を開いた。
「そうですね............では、ローザは何か趣味はありますか?」
「............趣味、ですか?」
「ええ。この学園にはいろいろな施設がありますから」
その言葉を聞いて、わたくしはふと昔のことを思い出す。
わたくしの両親は、色々なところに旅行に連れて行ってくれたりしていた。
そんな両親に連れられてわたしも様々な場所に行き、そのたびに色んなことを教えてもらったものだ。
そしてその中でも特に好きだったものが、本などの娯楽だ。
有名な魔法使いや剣士に憧れて剣の訓練をしてみたこともあったし、図書館で本を読んだり物語を聞かせてもらったりすることも好きだった。
「そうですね...........、僕は体を動かすのが好きなのだけれど、読書も好きですよ」
「あら、そうなのですね!実はわたくしもです」
シュヴァリエ様は目を輝かせた。
その目はまるで宝石のようにキラキラと輝きに満ちていて、恥ずかしくて直視できなかった。
そしてシュヴァリエ様のそんな姿を見たわたくしの胸は、ドクンと大きく高鳴った。
ああ、なんて愛らしい人なんだろう............。
このままずっと二人で一緒にいられたらいいのに.............。
「あ、あの!もしよかったら、今度一緒に図書館に行きませんか?学園の図書館は、一度も行ったことがなくて。」
「図書館ですか?ええ、かまいませんよ。」
シュヴァリエ様は微笑みながらそう答えてくれた。
ーーうれしい、幸せだ...............! わたくしは心の中でそう呟き、高鳴る胸を抑えていた。