あらすじ
腹が猛烈に痛んだので救急車を呼び、乗った。
「えー、おそらく手術になると思うのですが、この辺りですと……四つ、受け入れ可能な病院がありますね。どれにしますか」
救急隊員がおれに聞いてきた。痛みでそれどころではないのだが、そういうわけにもいかない。気力を振り絞り、声を出す。
「た、高いところは駄目だ。か、金がない」
増えすぎた高齢者。その医療費により国の財政が限界まで圧迫された結果、とうとう制度が見直され、自己負担額が激増した。
それが決まったのがおれが高齢者に片足を突っ込んだ時だったので、せめておれが天寿を全うしたあとにしてくれればいいものをと思ったものだ。自分たちさえよければいいと安い医療費で済み、死んでいった高齢者どもは全員地獄に堕ちていればいいのに。
「えーと、じゃあ三つですね。一つ目のところは死亡した場合、請求額が五十パーセントオフになりますね」