あらすじ
統合失調症。
それは、百人に一人の割合で発症する病気。
世界中の人間の、百人に一人は、統合失調症患者だ。それは、けっして少ない数ではない。
おそらく、世間一般には、
「幻覚、妄想を起こす病気」というイメージがあるのではないかと思うが、この病気の本質は《自我の障害》だ。
自我とは、
《私》と《他人》を隔てる《殻》のようなもので、
統合失調症患者は、その殻がもろくなり、「私」と他人の境目を見失っていくことでさまざまな症状が出現する。
高校生の「私」は、複雑な家庭環境に育った。
ささいなことで立腹しやすい父、
父をいつでも爆発する可能性のある爆弾のように扱う母、
異母兄弟の兄との四人家族だ。
居間の空気は、たえずピリピリと張りつめていた。
私は、安心、安全を得られるはずの「家」という場所で、
たえず緊張を強いられていた。
統合失調症の素因をもつ私は、
ストレスに対して脆弱性を抱えており、徐々に精神に異常をきたしはじめる。
「私」の精神状態に大きな変化が起こりそうな予兆がある中、
先に精神に異常をきたしたのは兄だった。
高校三年生の夏、
兄は、統合失調症の診断で、
精神科病院に入院した。
父母より兄になついて育った私は、兄に異常なまでの執着心を示す。
私は、高三の夏休み、
兄を毎日のように見舞い、
病室に兄と二人きりで何時間もこもっていた。
そんな頃、私は同級生の男子から告白をされる。
私、兄、同級生、三人の人間模様と統合失調症という病を描いた物語。