あらすじ
恒星間播種伝達船〈アーク・チェンバー〉の頭脳・果樹園の形を取った植物型演算素子群の人格部であるシアは、不意な呼び出しに目覚める。シアはかつて果樹園と融合し、人格部と呼ばれる対人インターフェイスとなっていた。
シアが自分自身でもある果樹園の様子を探ると、人間だった頃の自分と同じく両有性という両方の性を持って生まれた子供・リコが迷い込んでいた。
隔世遺伝により今はいないはずの両有性として生まれたリコは、八歳の誕生日の今日、男女どちらかを選ばなければならないのだという。
しかし、リコには自分が変わっていることはわかっていても、男女のどちらかを選ぶということがわからない。
全ての船員データを見られるシアは瞬時に事情を察して、リコにはただひと言こう尋ねた。
「だから聞かせて、あなたの気持ちを、あなたの言葉で」
Kaguya Planetによる「果樹園の出てくるSF掌編小説を公募!」参加作品(落選)です。応募原稿を少しだけ改稿して公開しました。
おおよそ5000字規模の掌編で、背景事情よりも登場人物達の動きや心情にフォーカスする描き方に挑戦してみました。