あらすじ
王太子の婚約者である、リディア・フォン・マルムスティーンは、王太子の誕生パーティで婚約破棄とある令嬢を虐げた罪を告白し投獄を宣言する。
身に覚えはないが、王太子の熱弁、証言者(王太子派閥や派閥に近しい者)により、まるで公開裁判かのように捉えられてしまう。
そして地下牢獄、簡素なベッド、痰壺のようなトイレ、地下であるため窓はなく空気口はあるものの太陽の光は届かず、そして魔法で編み込まれた鉄格子で出来た牢。
決して脱獄する事も自死する事も叶わない、重大犯罪者を投獄するための牢へと身を投げられる。
そんないくつかの厳重な地下牢だというのに、一室だけ別の空間ではないかと間違えるような部屋(牢)があった。
「ななな、なんだこれは!?」
「最高級寝具とトイレとお風呂とキッチンとカーペットとカーテンですわ。」
「ななな、なんだこの美味そうな匂いは!?」
「城下町で話題のはんばあがあですわ。」
「ななな、なんだその得たいの知れない器具は!?」
「らんにんぐましんなど、トレーニングましんですわ。見てください、最近腹筋が6つに割れました。」
リディアが牢に色々なモノを仕入れる度に、王太子の金庫から金銭がなくなっている事を誰も知らない。
それどころか国庫からも金銭がなくなっている事にも誰も気が付かない。(それだけ国庫が多いから気づかないのか間抜けなのか。)
王太子妃教育の一環として、王太子が行う国の重責の一部を担っていた令嬢であるリディアがいなくなった事で、王太子を中心に綻びが出始めていく。
リディアが業務を担っていた際には、王太子の出費はきっちりと管理されていた。
王太子がとある令嬢のために使っていた金銭もきっちりと公的文書として残されていたのである。
それがリディアがいなくなった事で、王太子の使途不明金だけが増えていく一方だった。
国庫にも手を付けていたリディアであるため、国としての使途不明金も増えていく一方で……
しかしリディアは気にも留めていなかった。
あの場で家族と一部を除き、誰も庇ったり声を上げる事はなく、その場に居た王達もその後を含めて何も言わず調査も行わなかったのだから。
見限られて当然でもあった。