あらすじ
魔界と人間界の戦が続く中、仙師の万松柏はとある禁忌を犯したせいで破門されてしまう。
仕方なく伏魔師に転向し、その日暮らしをしていた万松柏だったが、ある日彼の街が魔界の襲撃を受けた。彼らが操る「魔偶(まぐう)」と呼ばれる兵士が押し寄せる中、万松柏は奇妙な魔偶と対峙する。
そしてこの出会いは、二人の過去と現在、前世と今世の因果を紐解くきっかけだった。
※第25回ルビー小説大賞応募作です。下の方に応募用のあらすじを載せているので、ネタバレを見たくない方はご注意ください。
【おもな登場人物】
・無忌(むき)
攻め。魔偶でありながら意識と「魔鋒(まほう)」の異名を持ち、強力な剣士である。
・万松柏(ばん しょうはく)
受け。一流の仙師として魔界との戦いに奔走していたが、禁忌を犯して破門される。
義侠心に厚く、目の前の弱者を救うためなら掟や他人の目を顧みない。
・閻狼摩(えん ろうま)
魔界の方術師(魔術師)。魔偶の製作と統率に長け、将軍としても重用されている。
・比連(ひれん)
万松柏が面倒を見ている元魔偶の少年。修行中の妖鳥でもあり、小鳥と少年の姿を自由に変えられる。
・暁晨子(ぎょうしんし)
万松柏の師匠。白凰仙府の掌門でもある。
・暁雲子(ぎょううんし)
白凰仙府の長老。暁晨子とは兄弟弟子。
暁晨子ともども、ある重大な秘密を知っていて……?
【用語解説】
・魔偶(まぐう)
魔界が使役する人造の兵士。元は人間やその他の動物だが記憶や感情、知恵、意志をも失っており、操られるままに殺戮と略奪を繰り返す傀儡である。影のような見た目に金色の目を持つのが特徴。
・仙門(せんもん)
万松柏ら仙師の集団。魔界の襲撃を最前線で食い止めており、各地に「仙府(せんふ)」と呼ばれる拠点を持ち、仙師たちは各々弟子入りした仙府に所属する。丈が短めの真っ白の長袍と白い長靴を着用し、剣や護符などを携帯している。
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※以下応募用あらすじ
魔界の軍勢がひっきりなしに人間を襲い、仙師と呼ばれる修行者たちは長らく人々の盾として戦っている。万松柏もまた仙師として修行していたが、魔界が使う傀儡の兵士「魔偶」を連れ帰っために追放され、今は妖魔退治の屋台を出して日銭を稼いでいる。
ある日、松柏の暮らす街が魔界の襲撃を受ける。駆けつけた仙師たちが人々を避難させる中、松柏は首領格の魔偶に遭遇してしまった。松柏は圧倒的な強さの魔偶に追い詰められるが、魔偶は何故かとどめを刺さずに松柏を解放した。一人引き返す魔偶を松柏は呆然と見送る。
その後松柏は仙門で事情を聞かれるが、自分でも何が起きたか分からない。ただ、例の魔偶に対して懐かしいような、面映いような思いを抱いた自覚だけがあった。
夜が更けるとともに再度魔界の襲撃があり、標的にされた仙門は火の海と化す。松柏は戦いで負傷し、そこで例の魔偶と再会する。魔偶は松柏を魔界のねぐらへと連れ帰り、「無忌」と名乗る。無忌はただねぐらの中にいることだけを松柏に求め、松柏は警戒しつつも承諾する。無忌は普段の冷酷さとは打って変わって丁寧に松柏を看病する。
ところが、無忌が何かを隠していることに魔界が気付き、魔偶使いの軍師がねぐらを急襲する。松柏は応戦するが怪我のせいで全力が出せず、追い詰められたところに無忌が現れ、松柏を連れて逃げ出す。二人は人間界を目指すが、世界の陰陽を隔てる川に松柏が落ちてしまう。
川の中で松柏は見知らぬ仙師の記憶を見る。仙師は松柏と同じ顔立ちで、その「師兄」も無忌と同じ顔をしていた。驚く松柏を無忌は救い出し、魔界の追手を退ける。
松柏は再び仙門に保護され、長老・暁雲子に招かれて治療を受ける。そこで暁雲子は二人の仙師の物語を話す。それは松柏が川で見たものと全く同じで、自身が物語の中の仙師・望遠春の生まれ変わりであり、無忌は元々「遼無忌」と言う名の仙師で遠春の兄弟子、そして暁雲子は二人の師にして遠春を転生させた張本人だった。
暁雲子は二人の絆の強さを今でも覚えており、それが無忌を魔偶の身から解放する手がかりになると語る。そこへ無忌が現れて松柏を攫おうとするが、暁雲子は無忌を返り討ちにして捕らえてしまう。
暁雲子は無忌の洗脳を解くために陣を展開するが、陣を利用されて魔界の軍勢が現れてしまう。無忌は松柏を助けた罰でより強力な術で支配されており、自我や記憶も封印されていた。暁雲子が苦戦し、仙門が総出で加勢する中、松柏は無忌を「師兄」と呼ぶ。
その瞬間、松柏は全て前世からの因縁だったと悟る。松柏に師兄と呼ばれたことで無忌も正気を取り戻す。二人は先陣を切って魔偶と戦い、最後に軍師を討つ。
戦いが終わると、二人は山中の廃屋に隠居した。ぼろ家を直しつつの二人きりの生活で、松柏はついに無忌と結ばれる。