あらすじ
スティーヴンスン『宝島』から始まり『水滸伝』を経由して滝沢馬琴『南総里見八犬伝』、そして戦後――英雄なき時代の先に繚乱する冒険小説のオデッセイアへ。洋の東西さえ越えて、著者は膨大な小説と文献を文字通り縦横無尽に渉猟する。ただ一心に、面白い小説を追い求めて。百年の文学史のなかで切り開かれた豊饒なる小説世界、その山嶺を闊達な筆致で踏破する一大評論。大衆文学研究に里程標を刻み、第四十七回日本推理作家協会賞を受賞した名著。この一冊をして、文学史に「冒険小説」は永遠に刻まれる。【目次】1近代ヒーローの誕生ドイルと騎士道小説大観光時代荒野に立つヒーローハックルベリーの旅西部辺境の男たち十九世紀イギリス補遺芥溜(ごみため)のパリデュマの剣豪小説科学の冒険愛国主義者ルパン『紅はこべ』と『スカラムーシュ』騎士道の消滅スパイ・ヒーロー、登場不安と疑惑の時代クリスティーの冒険ジョン・カーターとターザン無人島の少年たち海の男ホーンブロワーマクリーンの戦後イギリス海洋小説補遺不信のヒーローフランスのスパイ活劇ジョバンニと暗黒小説スピレインの亡霊自警団ヒーロー、ボランスペンサーの饒舌悪党パーカーの栄光ライアルの場合七〇年代の壁現代の秘境キャリスンとカイルヒギンズの陥穽工作員の冒険謀略小説の時代ラドラムとカッスラーフランシスの復活2『水滸伝』の世界ふたつの『水滸伝』3『南総里見八犬伝』の世界政治小説の時代黒岩涙香の翻案小説巖谷小波の少年小説武侠の冒険立川文庫と講談「新講談」の時代「少年倶楽部」の時代高垣眸の海密林のヒーロー軍事冒険小説の行方日本伝奇小説の系譜国枝史郎と講談伝奇小説の黄金時代昭和十年代の壁『宮本武蔵』への道『赤い影法師』の衝撃講談『柳生武芸帳』風太郎忍法帖におけるロマネスク伝奇小説の伝統隆慶一郎が残したものヒーローの善意机龍之助の皮肉丹下左膳の場合長谷川伸と流れ者ヒーロー眠狂四郎の剣海のロマン大藪春彦の意味八〇年代のオデッセイア夢枕獏の彼方あとがき文庫本のためのあとがき解説=霜月蒼人名一覧書名・作品名一覧(※ページ数は、680字もしくは画像1枚を1ページとして数えています)