あらすじ
「はぁい! 彼が今日からこの家で暮らすことになったぁぁぁ……テムくんです! ささ、テムくん! ご挨拶は? あ、あはは、オホン、『ゴ・ア・イ・サ・ツ』」
『ア、テム……テム。テム、ダ。テム、デス……』
「はぁい! よくできました! みんな拍手! あらぁ? どうしたの坊や。拍手は? もしかしてぇ、やり方が分からないのかなぁ?」
……ぼくの無言の抗議もママの前では無意味。いっつもママのしたいようになるんだ。うちはママ中心で回っている。ママは人権意識が高いんだって。パパが昨日、ママの話のあと、ぼくにそう説明してくれた。
ぼくらの家で一緒に暮らすことになった彼、移民のテム。本当は彼がもともと住んでいたところへ強制送還されるはずだったけど、ママが声を張り上げてそれを止めて、あれこれ手続きして一緒に暮らすことになったんだって。
テムをうちに迎える前、昨日の夜にしたママの話によると彼はとっても可哀想なんだって。頭が悪くて弱くて満足にご飯を食べられなくて、元居たところから逃げて、ぼくらの国に不法入国したんだって。