あらすじ
兄の頭に手を突っ込んで、死んだ金魚を掬い出した。
夏、田舎の実家で俺は兄を殺した。浴槽で首を切り落として血を流している最中、近くに置いていた金魚鉢が兄の頭にくっついて身を起こした。
冷蔵庫に首をしまい、昔は兄が俺の髪を切った庭で金魚鉢を洗い、昔兄と無言で通ったシャッター街の熱帯魚屋で金魚を買い足し、昔兄と帰った夕暮れの土手を歩く。
何故兄が金魚を飼うのか、何故俺が殺したのか、お互いに聞かないまま。
第五回こむら川朗読小説大賞にもう一作参加したくて書きました。ギリギリで間に合った。
BLと思って書きましたが違うかもしれない。夏の終わりと、異形頭と、気が滅入る田舎と、金魚と、仲の良くない兄弟と、口も喉もない生き物がえづいているところを書くのが好きです。