あらすじ
陰陽連絡特急「やくも」は、1982年7月の伯備線及び山陰本線知井宮迄の電化と同時に181系気動車から381系振子型直流電車に置換えられた。
この電車は、中央西線の「しなの」、紀勢西線の「くろしお」同様、曲線区間の多い路線を高速で走り抜くために設計された。
以来42年、分割民営化後もアコモデーションの改良や車体色の変更などの変化はあったものの、「やくも」は381系のまま走り続けた。
気が付くと、世の中はすっかり変わっていた。
特急列車には座席ごとにコンセントが付けられ、ネット環境さえも整備されている。
コンセントがない、ましてネットもつながらない。
しかも、製造から40年以上経過している。
さらに悪いことに、登場時から今に至るまで、カーブを高速で曲がる故の「乗り物酔い」も多数発生していた。かなり改善されているものの、今もこの電車に拒否反応を示す人は少なからずいる。
しかしながら、乗れるのもあと少しとなった今となれば、何としても乗っておかねばならぬ。かくして私は、2024年2月の2度にわたり、岡山と玉造温泉を往復することとなった。
置換される273系の乗務員訓練の試運転もたけなわへと至りつつあるこの月、振子電車は私が中学生の頃と同じように、岡山から出雲市へと向かっている。
その光景も、もうすぐ見納め。
さあ、とにかく行こう。
今行かずして、いつ行くのか。