あらすじ
「え?」
「ん? そこの君。何かね」
奴を紹介した上司のいやに弾んだ声。それが沈むと静まり返ったオフィス内。おれがつい漏らした声を拾うのは容易かったらしく、上司にそう聞き返されてしまった。
「いえ、な、と」
なんでもないです……。そう言おうとしたおれを隣にいた同僚が肘でおれを小突いた。『こうなったら言ってやれ』の意味だ。
みんなの視線が集まる中、おれは仕方なしに上司に向かって言った。
「あ、あの、チンパンジーですか……?」
「そう、見たそのまま! 今話した通り本社から派遣された、今日からこの職場で働く我々の仲間、チンパンジーのチパくんだ! さあ、みんな拍手! ……と何かね」