あらすじ

「ジュリア、ただ今をもって、君との婚約を破棄する!」 「……!」 貴族学園のとある放課後の教室。 各々が帰り支度をしていると、私の婚約者であり、我が国の王太子殿下でもあらせられるダリル殿下が、唐突にそう宣言した。 「……どういうことでしょうか殿下? 随分急な話でビックリしてしまいましたわ。私があまりそういった冗談が好きではないことは、殿下もよくご存知ですよね?」 「フン、もちろん冗談などではないさ! こんなこと冗談で言えるものか! 僕は君のことを、つくづく見損なった! まさかキャシーに対して、あんな陰湿な嫌がらせをしていたとはな!」 「ダリル様、あまりジュリア様を責めないであげてください! わ、私は本当に……、気にはしていませんから……」 「キャシー、無理をするんじゃない! 辛い時は素直にそう言っていいんだぞ!」 「ダリル様……」 ダリル殿下が、男爵令嬢であるキャシー嬢の肩に両手を置きながら、慈愛に満ちた瞳を向ける。 クラスメイトたちも、何事かと遠巻きにざわついている。 「話が見えないのですが? 私はキャシー嬢に対して、嫌がらせなどした覚えはございませんよ?」 「フン、そうやって白を切るというなら、こちらにも考えがある! ついて来い!」 そう言うなりキャシー嬢の肩を抱きながら、さっさと教室から出て行ってしまう殿下。 私はフウと一つ溜め息を吐いてから、野次馬のクラスメイトたちと共に、殿下の後を追った。 「これがその証拠だ!」 ドヤ顔で殿下が指差したのは、校舎裏にある壁の一角。 そこには夥しい数の、ありとあらゆる落書きがされていた。 この壁は、通称『匿名掲示板』。 最初は誰かがほんの悪戯で悪口を書き始めたのだが、それに対して他の人間がどんどん便乗していった結果、今では虚実入り交じった、まさしく匿名掲示板と言えるものにまで発展してしまったのである。 「これがいったい何だというのでしょうか?」 「よく見てみろ、ここを!」 殿下が指差した箇所に目を向けると、そこには『男爵令嬢のキャシーは本当に生意気』と書かれていた。 「それが何か?」 「まだとぼけるのか! これを書いたのは、君だと言っているんだよ僕は!」

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小説を読もう2024/03/01
  • 現在の作品壁の落書きを理由に婚約破棄された悪役令嬢