あらすじ
ある夜。一隻の宇宙船が地球に着陸した。
それを目にしたのはたった一人。無理はない。ここはドがつくほどの田舎に加え、今は真夜中。たまたま寝付けず、散歩に出かけていたところに、というわけだ。
その彼はそれが宇宙船だとは思わなかった。大きな黒い物体が空から林のほうへ降ってきたとだけ。巨大な鳥か隕石か。音もなくというのは変に思ったが、とにかく彼は駆け付けた。
そして、それが宇宙船だと知ると彼は驚いた。今さらながら恐怖がこみ上げてきたがドアらしきものが開いているとわかると、好奇心を抑えられなかった。
その場、木の陰でしばらく様子を窺い、宇宙人が出てこないとみると彼は大胆にも宇宙船の中へ乗り込んだのだ。
中は暗く、天井は低かった。通路と呼ぶには短く、すぐに操縦室らしきところへ出た。外観からしてそう大きくないとは思っていたのでなんら不思議に思わなかったが、そこに足を踏み入れるや否やパッと明かりがついたことには驚き、腰が退いた。そして喋りかけられるとその腰は低く、果ては尻餅をついた。
『こんばんは。あ、どうかお逃げにならないで……』