あらすじ
事故で幼なじみを失った翔は、失意の日々を送っていた。月命日、幼なじみに花を手向け、そのまま彼女と行った神社へ向かう翔。
神社で途方に暮れていると、翔の目の前に『神様』と名乗る女性が現れる。
女性は美空と名乗り、翔にこう言った。
「あなたの願いを叶えてあげる」
会えるのは、死んだ本人と実際に会っていた夜の間だけ。
過去に戻っても現実は変わらないし、会えるのも一度だけ。
「彼女に会いたいなら、今夜またここに来なさい」
美空はそう言い残し、煙のように消えた。
その夜、翔は半信半疑になりながらも神社へ向かう。
そこにはやはり美空がいた。
「翠に会わせて」
すると目の前に振袖姿の翠が現れる。翔がいたのは、翠が亡くなる直前の大晦日、二年参りに行った日の夜だった。
翠とのひとときを楽しむ翔だったが、年が明け、別れが近付き黙り込む翔に、翠は『ありがとう』をずっと伝えたかったのだといい、翔は翠に、これまで言えなかった『ごめん』を告げる。
翠が別の男子から告白されたと知り、慌てて告白した翔。
「俺は、君がいないとなにもできない。君の手を引くふりをして、本当はずっと君に手を引かれていたんだ。俺は君に頼られるためになら頑張れた。君がいない今は、なにをやってもダメだ。やる気にすらならないんだよ」
いつも翔に頼りきりの翠。翔はたまに、そんな翠を面倒に思うことがあった。そのことで喧嘩になったこともある。
しかしそれは、じぶんのための努力ができない翔を鼓舞するものだった。翔は、翠に生かされていたのだ。
気が付くと、翔は交差点にいた。そこへ美空が現れ、言う。
『あなたが彼女を失った今から過去に行ったように、彼女も死んでから過去に戻ったのだ』
翔の目の前に、見知らぬ親子が現れる。
事故のとき翠が助けた親子だった。さらに彼らの姉が美空であり、美空もまた、この交差点で事故に遭って亡くなったという。
翔は翠のいない今を受け入れ、再び歩き出すのだった。