あらすじ

橘学園の二年生であるヒカリは親友ソウタに宣言した。 「俺、卒業式の日に告白する」  想いを寄せる容姿も頭脳も完璧な久代先輩の卒業が三日後に迫り、ヒカリはけじめとして告白を決意した。驚いた様子を見せるソウタだったが「オレも告白する」と。好きな人がいるということを突然のカミングアウト。いつも近くにいたのに、そのことに気づかず驚くヒカリだったが。それが誰なのかは突き止めることができなかった。  そんなある日、ヒカリは告白しようと思っていた久代先輩から観覧車デートをしたあとで逆に告白されてしまう。しかも久代先輩の親友である瀬戸川先輩からは「俺は久代が好きなんだ」という衝撃事実を聞かされ、なぜか卒業式の前日に果たし合いをすることに。  久代先輩に告白をされたのは嬉しい。だが自分は完璧な久代先輩に相応しいのか。本当に先輩を選んでもいいのか。いざという時、優柔不断になる自分の背中を「お前の決断だろ」と押してくれるのは、いつも親友のソウタだった。  だがソウタとも妙なことが起こっていた。突然練習しようと言って告白の練習をさせたり、キスをしてきたり。それらの行為は今までの二人の距離感とは明らかに違うもので、ヒカリの心をざわつかせる。  そして卒業式の前日。瀬戸川先輩が果たし合いと称したものは実は久代先輩が完璧ではなく、弱い部分もある人だということを教えるためのもので。 「それを知っても久代を好きなら久代のことをちゃんと考えてやってほしい」  それが瀬戸川先輩の伝えたいことだった。優しい瀬戸川先輩の一途な気持ちは久代先輩には伝わってはいない。瀬戸川先輩に「辛くないですか」とたずねると、返ってきたのは「近くにいるヤツほど気づいてくれないよな」という意味深なものだった。  それを聞いたヒカリは自分の中にある本当の想いに気づく――いつも近くにいた人物のことを。  そのことを考えていた時だった。ヒカリは不注意で道路に飛び出してしまい、車にぶつかりそうになった。そこを駆けつけてくれたソウタに助けられるのだが。ソウタは代わりに車と衝突してしまい「大丈夫」と笑顔で答えると共に意識を失ってしまう。  事故のせいで植物状態となった彼の身の回りのことをするうち、ヒカリは彼のことを全く知らなかったということを思い知らされる。何度も遊びに行った彼の家には彼しか住んでいなかったこと。家族は過去に出て行っていたこと。ソウタはずっと一人で過ごしていたこと。  ソウタは自分をいつも助けてくれていたのに。自分はソウタの存在に気づかなかったのだ。  事故から一年が経ち、ソウタは目覚めたが彼はヒカリを拒絶した。  だがヒカリは今度こそ選択を悩まなかった。 「俺はソウタがいい」  共にいることを決断するとソウタも自分を選び、そして二人で再び決断した。  卒業式の日に告白する、ということを。

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カクヨム
カクヨム2021/04/16
  • 現在の作品なんでもない親友は一番なんでもなくなかった