あらすじ
※ネタバレ注意
キャラクター設定
鳥府千代子(とりふ ちよこ)・・高校1年生の15歳。誕生日は2月14日。他人の嘘をチョコレートの味として感じる共感覚能力者。父は失踪、母は心を病んで要介護の状態であり、パティシエールの叔母、智恵流と共に過ごしている。父親の「愛している」という言葉にチョコレートの味をいつも感じていたため、他人の嘘が許せず、チョコレート自体も大嫌いである。1年生にして風紀委員の副委員長を務めている。委員長である堀木に対して憧れを持っているが、いつもちょっかいを出してくる嘘だらけの同級生、井筒折尾に「大っ嫌い」と告げようとしたときに、自分の言葉が嘘であることに気づいてしまう。
井筒折尾(いづつ おりお)・・高校1年生。いつも嘘を子供っぽい嘘をついて千代子をからかってくる同級生。内面が読めないが、頭脳明晰、運動神経抜群であり、趣味のお菓子作りはプロ並みの実力を持っている。普段から嘘が多いのは、病気の弟のために嘘をついて勇気づけることが癖になっているからであり、嘘もつき続ければいつかは真実になるのでは、と思い続けている。一方で、何が本当なのか自分でもわからなくなってしまった折尾は、嘘を見抜ける千代子に、自分の嘘を見抜き続けてほしくてちょっかいを出し続けている。
堀木麟麒(ほりき りんき)・・3年生の風紀委員長。真面目な性格であるが、職員と交渉をして生徒の自治を勝ち取ったり、千代子の特別指導日数を減らすなど頼れるやり手の委員長。
日枝靖子(ひえ やすこ)・・千代子の友達。高校に入学した後に仲良くなったため、付き合いの日は浅い。別の友人グループから指示をされて千代子の机の中をめちゃくちゃにしたが、本当は苦しんでいた。
木途勝斗(きと かつと)・・サッカー部の2年生。5股をかけた上に、千代子に告白をし、返り討ちにされる。
井筒乃在(いづつ のある)・・折尾の弟。命に関わる心臓の病気で、一刻も早い手術が必須の状態であるが、折尾のつく嘘だけが生きる希望になっている。
羽庭智恵流(はにわ ちえる)・・千代子の叔母。チョコレート作りの腕は日本有数の職人だが、生活能力がなく、小学生の千代子に3食チョコレートという食事を作ったことがある。それ以来、千代子は、自分がやらなければダメだと覚悟をし、家事全般を引き受けている。
長編化した場合のプロット
鳥府千代子は、他人の嘘を聞くとチョコレートの味を感じる共感覚能力者である。風紀委員長である堀木に憧れを持ち、他人の嘘とチョコレートが大嫌いでもある千代子は、風紀委員として校内の風紀の乱れを厳しく取り締まっており、周囲からやっかまれていた。そんな中、千代子の机がめちゃくちゃに荒らされるという事件が起こり、犯人は友人のヤッコだった。
ヤッコを問い詰め、見限る千代子だったが、いつも嘘ばかりをつく井筒折尾は、ヤッコがただの実行犯であり、誰かの命令があった可能性を指摘する。ヤッコは、罪悪感から「心を閉ざすチョコレート」を大量服用して自殺を図ってしまう。ヤッコの心を取り戻すために千代子は奮闘し、その最中で手助けをしてくれた折尾に好意を持っていることを自覚してしまう(短編はここまで)。
折尾への好意を自覚したものの、それは何かの間違いに違いない、と感じた千代子は、周囲から尋ねられた質問に気持ちとは裏腹の言動を取り続け、その度に、チョコレートの味がする自分の言葉に追い詰められていく。そんな中、憧れていた堀木から告白を受け、千代子は喜んで返事をしようとするが、結局、その場で答えることができずに返事の保留をしてしまう。
折尾は欠席が続いており、悶々とした気持ちを確かめるために折尾の家を訪れ、そこで、折尾の弟が不治の病であるが、成功率の低い手術を受けることで助かる見込みがあることを知る。折尾が嘘をつくのは、弟を勇気づけ、手術を受けさせるためだったことを知り、千代子は、折尾への気持ちを強く自覚することになる。
また、自分の嘘を見抜く力が、折尾の心を支えていたことも知る。
千代子は、折尾の弟のために、折尾の嘘の味がするチョコレートを作ることを提案する。
そのチョコレートには、折尾の優しい気持ちが強く込められており、不安に押しつぶされそうになっていた弟は、折尾の気持ちを受け取って手術を受け、一命を取り留める。
折尾への気持ちを自覚した千代子。折尾は照れ隠しに嘘混じりの言葉を呟くこともあるが、千代子は、その甘いチョコレートの味がそれほど嫌ではなくなっていることに気が付く。