あらすじ

高校生の葉月凜は、美人でもなく、取り得もなく、将来の夢もない自分を何もない存在だと考えていた。クラスでは孤立して居場所がなく、家庭に戻ってもシングルマザーの母親とはすれ違いで話をする時間がない。そんな楽しみも展望もない生活を送る中で凜の心は渇き、現実をつまらないものとしか思えずにいた。  ある日、凜は唯一の友人である侑李とアーティストのライブに行ったが、その帰り道で交通事故に遭い、意識不明の重体となる。目を覚ました凜がいたのは、夢遊界(むゆうかい)と呼ばれる夢の世界だった。  案内人である青年、昴の説明によれば、夢遊界は人々が見る夢の集合体で、何でも望みが叶う上に、いつまでも目覚めずに夢を見ていられる理想の世界という話だった。そんな夢遊界の素晴らしさを説かれても凜の心は少しも動かされず、一刻も早く現実に戻りたいと願う。だが昴によれば、凜の肉体は現実世界で眠ったままであり、肉体が回復しないと現実には戻れないという話であったため、凜はやむなく夢遊界で過ごすことを受け入れる。  最初は現実に帰ることを切望していた凜であったが、夢遊界で過ごすうちに少しずつ心境が変化していく。進路や人間関係に煩わされることなく、何でも望みが叶う夢遊界は、凜に新たな居場所を与えてくれる楽園のように思えたのだ。現実に残してきた人々の存在を思い出しながらも、夢と現実との狭間で凜の心は揺れる。果たして凜は現実に戻ることができるのか。  交錯する二つの世界。ままならぬ現実の中で、私達はどのように人生を生きていけばよいのか。青少年の迷いや葛藤を描いた青春ファンタジー。 *3日に一度、19時に更新します。

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カクヨム
カクヨム2024/02/19
  • 現在の作品夢幻の楽園