あらすじ
夫の浮気相手がもし、若いころの私自身だったら――?
私は60歳、夫である徳栄は67の無味乾燥な生活を送っている夫婦でした。
最近夫の様子が怪しい。どうも彼は浮気しているようなのです。
問いつめたところ吐きました。――案の定、女がいたのです。
ですが、浮気相手は、なんと若き日の私だったではありませんか!
夫が好きになった23歳の娘は、単なるそっくりさんではありません。
天真爛漫な性格といい、なにげない仕草や青春時代の記憶、背中の特徴的なホクロでさえ――ほんとうに在りし日の私だったのです。
奇しくも名前まで、旧姓である萩本 円佳と名乗るのです。
相手がいちばんきれいだった私だからこそ許し、3人の奇妙な共同生活をはじめたのですが……。
定点観測のような眼差しで、夫と若い私が愛し合う姿を眺めてはうっとりし、自身を慰めてきたのです。
けれど、徐々に円佳は小悪魔の地金をさらすようになります。徳栄ですら増長し、やがて私は行き場を失っていくのでした……。
円佳こそ、私の足もとを揺るがすシロアリ娘です。
さんざん虐げられ、追放されて我慢の臨界点に達したとき、『鉄の女』の異名を持つ私は反撃に出るのでした。
鉄にふさわしいやり方で――。