あらすじ
わたしはラシード様に別れを告げられ、自分の部屋に閉じこもった。
その途端、涙が止まらなくなった。
あんなに好きだったラシード様の婚約者になれたのに……。
愛されていると思っていたのに……! もう終わってしまった事なのに……時間が経てば経つほど、悲しくて、辛くて……。
「お嬢様」
部屋の外から声がした。侍女のアンの声だ。アンはわたしをそっと抱きしめてくれた。でもそれは同情からだって分かっている。可哀想なわたしを見て、喜んでいるんだわ。
「お嬢様、そんなに悲しまないでください。あんな奴の事は忘れてください」
わたしは首を振った。ラシード様を忘れられるならとっくにしている。だけど無理だから、こんなにも悲しんでいるんだ。
「ラシード様が好きなのに……他の人と結婚するなんてできない……」