あらすじ
「なぜお前はそうなのだ。もううんざりだ。お前のような女は王妃にふさわしくない」
それは学園に入学してすぐのことだったわ。婚約者である王子から呼び出しを受けて告げられた言葉は、わたしにとっては死刑宣告と同じだった。
わたしの名はソフィア・ティンベルグ。ティンベルグ公爵家の一人娘であり、王位継承権の順位は第二位。そんなわたしは、入学した学園で悪役令嬢と呼ばれて数々の嫌がらせをされていたわ。
「しかし、わたしがなにをしたというのでしょう? 確かにわたしは、王太子妃にふさわしくないかも知れません」
わたしがそう反論すると、王子の隣にいた取り巻きの女生徒が声をあげる。
「またそんな言い訳をする!」
この高慢なご令嬢はアンネリーゼ・オウス・シュタインバッハ。シュタインバッハ王国の王女様。そして、この国の第一王子の婚約者。
「そうよ! あなたはいつもそうやってとぼけて!」
わたしにそう食ってかかったのは、アンネリーゼ様の妹でわたしの取り巻きその一でもあるエミーリア・オウス・シュタインバッハ。
「そうですわ! ソフィア様がリアン様を独り占めしているせいで、わたくしたちがどんなに肩身の狭い思いをしたことか!」
最後に声をあげたのはわたしの取り巻きその二であるビクトリア・エルゼベエト。この国で最も大きいエルゼベエト商会のご令嬢である。
「それは心外ですわね。リアン様はいつも婚約者であるアンネリーゼ様と過ごされていたでしょう? 肩身の狭い思いをしていたのはむしろわたしの方ですわ」
「ソフィアさん、もういい加減にしてくれないかな?」
リアン様がいつもの優しい声音でわたしにそう話しかける。わたしは心の中でため息をつく。なぜなら、この後に続く言葉はいつも同じだということをよく知っているからよ。
「君が僕の婚約者でなければどんなによかったか! もううんざりなんだ! 僕はアンネリーゼと結婚する。だから、君とは婚約破棄させてもらう!」
「ええ、わかりましたわ」
わたしは深々と頭を下げる。顔をあげると、アンネリーゼ様が勝ち誇った顔をしているのが見える。この表情を見るたびに心の中でため息をつくわたし。そして.....................。
「ありがとうございます、ソフィア様。これでわたくしはリアン様と結婚できますわ」
そう告げるアンネリーゼ様の表情はまさに悪役令嬢のそれだったわ。