あらすじ
ここはゲームの世界だった筈。なのに私の立ち位置は悪役令嬢のアリス・レンドーンでは無く、別の人物になっていた。
「変な夢見たなぁ……あいたたた……」
前世の私は享年25歳だった。親孝行もしないでぽっくり死んだのが唯一の心残りだけど、それはもういい。私が今いるのは前世とは違う世界だから。
魔法と剣の世界だと聞いていたけど、今世の私は魔法が全く使えないみたいだった。「アリス、どうしたの? 一人でぼーっとして」
「別に……何でもないわ……」
今の私の名前はアリス・レンドーン。公爵令嬢だ。ゲームの世界では悪役で、最後は王子に断罪され国外追放になる運命だ。だがそれはあくまで前世での私の話である……と私は思っている。そうであって欲しいなと切実に思っている。
今日はこの国の第一王子ルシオン様に婚約破棄される日だったはずだ。正直不安でしかないが……まあなるようになるだろう。
「ねぇアリス、今日は私との婚約式の日だよ? 一緒に教会に行こうね?」
「ええ」
私の友人はアナスタシア・ホーシンという子だ。異世界転生した身としてはこの国の名前に聞き覚えはある。というより日本に住んでいたときは乙女ゲームとしてプレイしていたから当然知っている。