あらすじ
高校に入学してからというもの、シオリは図書室に入り浸っていた。
だから、居合わせてしまったのは必然で、巻き込まれてしまったのは好奇心とちょっとした善意。
図書室の奥まった場所で、「彼氏を奪われた」と泣きながらも、怒りを露わにする女子生徒。
傍から見ても、恐れを抱くような形相だ。
だというのに、怒気をぶつけられても、彼女と向き合う少女はどこまでも平然と、西洋人形のように冷たい相貌をしていた。
図書委員の少女。
放課後、図書室に来るたび、カウンターの中で黙々と仕事をこなしている女の子だった。
見知った……というには、事務的なやり取りしかしてこなかったけれど、見てみぬフリをするには良心が痛む。
ついには手まで上げそうになった女子生徒を、バレないよう、機転を利かせて追い払う。
シオリが安堵したのも束の間、図書委員の少女には気付かれていたようだった。
「ありがとうございました」
素っ気なくもお礼を告げらる。
その後、一悶着というには他愛ないやり取りをして、保健室で名も知らない彼女の治療をして別れる。
別れ際、
「さようなら。また」
と、図書委員の少女は言い残したが、『また』という再会をシオリは深く捉えはしなかった。
図書委員と利用者。
彼女との関わりなんて、その程度だろう。そう……思っていたのだが、
「――私と付き合って、恋を証明していただけませんか?」
翌日の放課後。お礼と称して図書室の作業部屋でお茶をご馳走になるシオリはまさかの告白(?)を受けて――
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