あらすじ
婚約破棄の慰謝料で得たお金で、執事と新しい事業を立ち上げるため、結婚資金にしたそうです。
良かったですね、あの方に婚約破棄されて」
「はい?」
「身に覚えのない事を言われたら、動揺するでしょ? あの方は、女性に恥をかかされたり、罵られたりすると、とても心が傷つくそうですから。
「ええ、今は愛する人と幸せな日々ですもの」
最後に小さく呟いた言葉は、俺や友人たちには聞こえなかった。
ただ、そのセリフの後の、微笑が怖い。
婚約破棄が、結婚の後押しになった事を、喜んでいるのだろう。
「身に覚えのない事を言われたのですが」
「身に覚えがないですか?」
「ありません」
「おかしいですわね。
でも、皆様もそう仰っているのですから、きっと何か理由があるはずです。
もし、嘘を言っているなら、ここにいる皆様全員、貴族社会から冷たい目で見られますよ? それでもかまいませんか?」