あらすじ
大陸に覇を唱える当代の覇権国家、ヴァンベルク帝国。屈指の工業力とそれに裏付けされた精強な軍事力を誇る帝国はしかし、長年の軍事偏重政策の末に巨大化した軍隊官僚機構の腐敗や軍内での権力闘争と不健全な政軍関係、更には長く続いた周辺諸国との小康状態による兵士の規律低下に苦しんでいた。
増加する軍内犯罪に対し、従来の憲兵による取締りに限界を覚えた軍務省は法務資格を有する法律専門要員『法務官』を新たな職種として設置。強力な権限を持つ『軍内検察』として、緩み切った帝国軍の軍紀を回復させることが彼らの任務であった。
帝国暦1720年、帝国南部のオイベルツ連隊区に新たな陸軍法務官が着任する。新任の法務官、レーネ・アマーリア・ライヒェンベルガー法務少尉は弱冠15歳で法務試験に合格し、特例中の特例として陸軍に入隊した若き天才だった。法科学校出身の青年下士官、ユリウス・ベルング・ランツ軍曹はある日上官から呼び出しを受け、彼女の補佐官に任じられる。
類稀な才能を以て、時にはグレーな手段も使い連隊区内で起きる問題を次々解決し、辣腕を振るうレーネ。彼女に対して、法務試験をかつて志し、そして挫折したという背景を持つユリウスは複雑な心情を抱いていた。
そんな中、連隊区内で現役軍人の連続不審死事件が発生。調査に乗り出したレーネとユリウスは、その裏に軍管区高官や親軍部派の政治家が絡む陰謀が潜んでいることを知り――
史上最年少の法務官として法を以て人を律するため奔走する少女と、かつて法を以て人を救うことを夢とし――そして夢破れた青年。異色のコンビによるミリタリー・ミステリーが、今始まる。