あらすじ
私は婚約破棄された悪役令嬢である。
つまり、もう悪役令嬢では無くなったわけで、役目を果たしたのだ。
婚約破棄されてから早1か月経った今も、私は公爵家の庭園にある池で釣りをしている。
いや、ちょっと言い訳させて欲しい。
そもそも悪役令嬢とはなんだろうか? 皆さんもきっと一度は疑問に思った事があるはずだ。
特に乙女ゲームが好きな方なら、『悪役令嬢』という存在は切っても切り離せないだろう。
乙女ゲームの醍醐味と言えば攻略対象との恋愛だが……悪役令嬢が存在すると、大体の恋愛対象は悪役令嬢を邪魔者扱いする。
ある時は仲を引き裂き、ある時は悪事を暴き、悪役令嬢とその婚約者との間を邪魔しまくる。
ゲームによっては婚約破棄されて家から追い出されたり、国外追放までされる悪役令嬢もいる。
そんな悪役令嬢にもしっかりとした設定があり、中には幸せになる悪役令嬢もいる。
悪役令嬢であるにもかかわらず婚約者から溺愛されたり、攻略対象からプロポーズされたり……そんな幸せなハッピーエンドな婚約破棄ゲームも存在する。
まぁ、大抵は悪役令嬢のハッピーエンドなんて無いに等しいんだけどね。
バッドエンドの悪役令嬢は大体が悲惨な末路を辿るから……。
そんな悪役令嬢だけど、ヒロインが来る前に婚約破棄して貰うために私が奔走するストーリーもあったりする。
かなり人気があったみたいで、悪役令嬢の末路や攻略対象との恋愛模様を見てニヤニヤしたり楽しんだりしていた乙女ゲームプレイヤーも多いらしい。
逆にハッピーエンドを迎えた時なんかは感極まって嗚咽を漏らしながら感謝して、攻略対象に素敵なプレゼントを贈ってた人もいたとか……。
まぁ、気持ちは分からなくもない。
だってヒロインのお陰で『悪役令嬢』じゃなくなるって事は、乙女ゲームの『悪役令嬢』という役目から解放されるのだから。