あらすじ
これは近い将来のお話。
世界はスマホの進化端末であるPUT(Personal Universal Device)に、複数の仮想現実機能を組み合わせて現実世界と変わらない快適なVR環境を提供するXRD(eXtended Reality Device)を接続することによって大きく変化した。
また、PUTに保存されている遺伝子情報をもとに、XRDと連動するために他人のものは使えない。だから、個人情報等のセキュリティ対策も万全といえる環境が出来上がっている。
更に、ナノマシンを体内に取り込むことで耳が不自由な人は「聞く」ことと「話す」ことができるようになり、目が不自由な人は「見る」ことができるようになる。画期的なシステムだ。
これにより、身障者と健常者の壁、言語の壁、性別の壁、肌の色などの違いや、距離の問題などもすべてPUTとXRDが取り払ってしまったといえる。
アルステラというのは、このPUTとXRDが実現する仮想世界で動作するVRMMORPGだ。
水無瀬日葵は仕事を終えて、VRMMORPG「アルステラ――優渥なるアポストル」のサービス開始と共に始める。
作成したキャラクター名はアオイ。敏捷性と器用さ、高い魔力が売りのハーフリングのアバターだ。綿密にキャラクターを作成し、チュートリアルをきっちりと済ませたアオイは、サービス開始直後にゲームにログインする。
〝おいおい、このゲームってこんなガキが遊べんのかよ?〟
〝なあ、この身長であのでかい魔物と戦えると思うか?〟
などと体格の大きなベータテスターに馬鹿にされる日葵に、NPCが声を掛ける。
「そこのハーフリングのお嬢さん、困ってるなら話を聞こうか」
この一言から、アオイの最強への道が始まった。